書道教師
(今回のお話は冬室 冷美の視点でお話しします)
ふぅ〜。
スッキリした〜。
私はストレスがたまるとあることをして解消しています。
あ、改めましてこの学校の教師をしている冬室 冷美です。
去年まで訳あって火曜日のクラス担任をしていました。
誰が考えたか知らないですけど日替わり担任なんて訳の分からない制度を1年間もよく続けられたと思っています。
あ、今何やっていたか気になりますか。
私はストレスがたまると字を書きます。
筆に墨を付けて大きい和紙に書くのです。
それも何枚も何枚も。
これでも昔は書道家を目指していたのですよ。
腕はプロ級なんですよ。
得意な文体は隷書です。
詳しくは調べてみてね。
私は細かい文字が大好きです。
だからストレスがたまっているときは大きい和紙に細かい文字で延々と書くのが好きなんです。
この時間はかけがえのないもので気がつけば時間がだいぶ経っていることもしばしば。
そのぐらい書道が好きなんです。
でも悩みもあります。
書道は主要教科ではないので授業数が非常に少ない。
ましてや能力者クラスの教師は1クラスしかもてないので本当に暇。
だから代わりに今のクラスでは古典を教えています。
現代文よりかは好きという理由でですが。
つまり私は古典と書道の二刀流の教師なのです。
普段の授業も大変です。
好きでもない古典の授業をしなければならないからです。
と言いますか完全に授業量は古典が上回っています。
おかげで好きな書道をする暇がありません。
あ、1つ言い忘れました。
それは私が悪筆だという噂についてです。
達筆すぎて悪筆だという噂もありますが本当は違います。
ただ単に黒板に文字を書くのが面倒くさいだけです。
私、筆以外の筆記用具が本当に面倒くさいです。
だから読める範囲でギリギリに文字を崩しています。
あ、ここから素を出しますね。
普段はお淑やかに素が出ないようにしているのですがそれではなかなか本音を出せないからです。
ちょっとビックリしないでくださいね。
少しずつ出しますから。
まずは私の能力のことです。
私は氷の能力を持っています。
いつぐらいからこの能力が出たのかは覚えがありません。
物心ついた頃からでしょうか。
私はずっと冷え性だと思っていたぐらいですから。
でも私の周りは冷たい空気が流れているみたいで小学校の頃は人間クーラーと呼ばれていました。
今思えば力が制御できずに漏れていたのでしょうね。
私自身も夏は快適でしたが冬は地獄でした。
そして能力者の通う学校に進学し教員免許まで取って今に至ります。
さっきも言ったけど本当は書道家になりたかった。
でも私たちの存在は秘匿されている状態。
当然、表に出る仕事には就けません。
だから仕方なく能力者の道へ進みました。
能力者の道は険しいものでした。
そして、私たちの目の前に現れた1人の女の子。
その女の子が私たちの運命を変えるのです。
その女の子は最初は全くの無能力者でした。
ところが1ヶ月も経たないうちに私たちの能力を上回ったのです。
それが今では逆に教えを乞う状態に。
はっきり言ってムカつきます。
あの野郎、本当にムカつく。
女の子に野郎って言うのはちょっと違うけどその娘は元男の子なのであえて野郎と言わせてください。
あくまでも影口なので、もちろん本人の目の前では決して言いませんけど。
今日も本当にムカついた。
大体、訓練、修行と称してかなりきつい事を要求しやがる。
いつも私の能力のギリギリまで要求する。
奴はギリギリで修行することが能力が伸びる秘訣だとも。
少し前までは私が奴に教えていたんだ。
確かに厳しい修行を奴に指導していたが立場が逆になると倍返しどころか3倍返しも良いとこ。
でも、なぜかできないことは要求されない。
できることのギリギリを要求するのだ。
本当にムカつく。
そしてさらにムカつくのは私が必死にやっていることをあの野郎は平然と顔色を変えずやってのけること。
それもこれぐらいは簡単ですけどと口では言わないけどそういった顔で私に見せつける。
あんたとはスペックが違うんだよと大声で叫びたいがそういった余裕もない。
修行が終わった後は小一時間、本当に体が動かない。
その時、決まって奴が語りかけてくる。
「今日はキツかった?
大丈夫?
あまりにキツいようだったら今度から修行内容のレベルを落とすけど」
彼女はそう語りかける。
その優しさが余計にムカつく。
厳しいなら最後まで一貫して厳しくしろよと私は心の中で叫ぶ。
そして本当にムカついているから私は
「レべルは落とさなくて結構です」
と断ってしまう。
毎回その連続です。
1回、その彼女に私の修行内容について聞いてみたことがあります。
彼女は
「あなたは普段はお淑やかでカワイイ方だと思います。
美人ですし。
でも修行モードになると性格が一変する。
言葉もかなり変わりますし何より性格が一変する。
特に殺気がすごいというか、僕でも怖く感じるぐらい。
結果、僕は僕に刃向かえない程度に言い方が悪いですけど扱くしかないんですよ。
あなたには悪いけれど。
でも普段の性格では戦闘には不向きですしね。
難しいところです。
あ、1つだけ言っておきますとどちらの性格もあなたらしくて好きですよ。
だから性格は変える必要はありませんよ。
どちらの性格もあなたらしくて素晴らしいものですから」
天然ジゴロが、と私は思った。
これで(男時代も含めて)1回もモテたことがないなんて絶対嘘だと思う。
何せ彼女が知らないところで彼女のファンクラブが存在するのだから。




