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分身

  (今回は海城かいじょう 豊深とよみの視点でお送りします)


え〜と、久しぶりですね。

わたくしの存在をお忘れかしら。

こんにちは、海城かいじょう 豊深とよみです。


 まず、改めて自己紹介しますわね。

私は水の能力者。

これでも結構な使い手ですのよ。


 水の能力を少し詳しく説明しますわね。

わたくしの能力は空気中の水蒸気を水に戻すことができる能力。

ちなみに私の気分次第で除湿も加湿もできますの。

加湿する時は水のペットボトルが必要ですが。


 水の能力は凄いんですの。

ウォーターカッターみたいに鋭利な刃物にもなりますし、大量の水さえ召喚できればそれだけで鈍器にもなりますの。

これも日々の訓練の賜物ですわ。


 私の日常は学生が本分。

きっちし授業を受けて放課後に修行をする。

私の修行担当の先生はいい加減な先生。

気分屋だしすぐ脱線するし、本当、いい加減。

ある日なんて、修行そっちのけで関係ないお話で時間を潰していたっけ。

その後、その先生は謝っていたけど本当、ちゃんとして欲しい。

授業もまともに成立したことがないし。

教科書なんかほとんど使ったことがない。

その日、その日で先生が話したいことを話しているだけ。

もちろん、黒板も使わない。

ただ、単に授業も先生の暇つぶしみたいに使われている。


 今、説明した先生の名前は波津はづ 流海るみ先生。

担当教科は地理。

最初の頃は授業をやらずに居眠りをしていたからまだマシになった方。

しかしこの先生、やるべき事はやるみたいで脱線しているように見えてちゃんとテスト範囲はカバーしているのだからそこは教師としての力量として認めよう。

ただ、もう少しやる気を出して欲しい。


 そして、週に1回だが師匠がわたくしたちの修行を見てくれる。

師匠の名前は遠山とおやま 葵唯あおい

元男の子なのだそう。

わたくしたちにはそうは感じさせない身のこなし。

流石だと思います。

でも彼女にはポリシーがあります。

それは決して女言葉を使わないこと。

彼女は性は変われども心は男。

決してその事は忘れないように心にかせをかけているそう。

そんな彼女の努力を私は可愛く思いもします。


 そんなある日、いつものように師匠との合同修行に向かいました。

合同修行をするメンバーはわたくしを含め3人。

わたくしとこごりちゃん、そしてそうあちゃんです。

元々、わたくしを含め5人いた弟子もなんやかんやあって3人に減ってしまいました。

それでもわたくしたちは仲良くやっています。


 その日は、少し用事があってわたくしは少し遅れていきました。

その時、師匠の様子が少し変だったのです。

「あら、用事がお済みなのかしら。

それでは修行を開始しますわね」

わたくしは呆気にとられてしまいました。

何せ普段の師匠のしゃべり方とはだいぶ違うから。

そして女言葉でしゃべる師匠の姿が一種異様だとも思いました。


 そりゃぁ、何も知らない人が師匠の今の姿を見ても違和感はないでしょう。

でもわたくしたちは男言葉をしゃべる師匠しか知りません。

だからその姿は不思議でしかありません。

姿はいつもと同じなのでなんか人格が変わってしまったような。


 師匠は

「コホン、えっと説明しますわね。

今のわたくしは本来のわたくしではありませんの。

まずは周りをご覧ください」


 わたくしは周りを見渡した。

見ると、こごりちゃんの修行の相手をしているのも師匠。

そうあちゃんの相手をしているのも師匠。

そしてわたくしの目の前にいるのも師匠。

わたくしは混乱してしまいました。


 師匠は

「わたくしは簡単に言うと分身の術が使えますの。

絶対防御の応用でね。

絶対防御というのはわたくしの固有の能力

わたくしは瞬時に攻撃を避けることができますの。

簡単に言うと高速移動って奴。

この分身も高速移動がなせる技。

いわば、この姿は残像ね。

3人に増えることで修行も個別にできるしね。

あと、何か質問がある?」

わたくしは

「じゃぁ、何で性格が変わっているのですか?」

と聞いてみた。

師匠は

「わたくしが分身を使う時は修行の時だけ。

なぜか分からないけど教える相手の性格を投影するみたいなの。

こごりちゃんの相手をするわたくしは無口キャラだしそうあちゃんのときはおしゃべりキャラ。

あなたの相手をする時はさながらおしゃべりキャラかしら。

何でか知らないけれどそれぞれ人格が違うみたい。

それにわたくしのこの人格、他の人格からはキモいって言われてるしね。

多分元の人格が影響しているのだろうけど」

と彼女は不思議がっていた。


 わたくしはもう1つの質問をしてみた。

「他の2人は結構近くで修行しているのだけどわたくしたちはここで修行して邪魔にならないのかしら」

師匠は

「それは大丈夫。

あの2人は結界で遮断されているからわたくしたちに攻撃があたることはないしわたくしたちの攻撃が彼女たちにあたることはないの」

わたくしは

「え、結界で遮断されているって事はどういうことなのですか?」

師匠は高速移動の残像だってさっきおっしゃっていたじゃないですか」

師匠は

「詳しいことはよく分からないの。

分身の仕組みは本当はよく分かってないの。

多分こうじゃないかって事を説明しただけだから。

後、難しいことは考えないようにしているの。

とにかく分身したわたくしたちは人格も能力も違う。

こごりちゃん相手のわたくしは氷の能力。

そうあちゃん相手のわたくしは雷の能力。

そしてあなたと対するわたくしは水の能力。

どちらもあなたたちよりも格上の能力。

胸を借りるつもりでかかってきなさい」


 わたくしはその日、力一杯修行を受けた。

そして、師匠は最後に

「しばらくは個別に修行をやるつもりです。

個別にやる時は分身した方が効率が良いですから」

と言って帰って行った。

2人の分身を残して。


 と言ってもすぐに焦って帰ってきたけど。

そして今度は全員の修行を終わらせ1人に戻った。


 今日の修行は本当に貴重な経験でした。

そして師匠の新しい一面が本当に可愛く思えた。

ある意味ラッキーに思えた1日でした。





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