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体育

 今日も体育の授業がやってきた。

僕にとっては恐怖の時間だ。

恐怖の時間と言っても体育の授業のことではない。

なぜなら、僕はとある理由で体育の授業に参加できないからだ。

だから、僕にとっての恐怖の時間は授業そのものではなくその前の着替えの時間だ。


 僕はついこの前まで思春期真っ盛りの健全な男子高校生だった。

それが今、性転換をして女子高生になってしまったのだ。

心が女の子だったらこんな気苦労をすることはないだろう。

また僕が(男だったとき)同性愛者だったらこんな気苦労をすることはない。

着替えの時間は刺激が強すぎるのだ。

そりゃあ、何度も脱出を試みたよ。

そのたびに委員長に対策を練られて今じゃ八方塞がり状態。

しかもこの前委員長に校舎裏に呼び出され(どんだけ校舎裏が好きなんだよ)半ば脅されるような形で

「いい、あなたはこれから女性として生きていかなければいけないの。女性の下着姿を見るぐらいで恥ずかしがってちゃいけないの。それじゃあ、普通の生活もできないわ。あの方にも顔向けができないし。あなたは元男なんだから男らしくきっぱりと女になりなさい!!」

と言われた。

僕は心の中で「どっちなんだよ!!」と委員長の矛盾した発言にツッコんでいた。

だいたい、トイレだって行くのが恥ずかしいからみんなが使っていないだろうトイレを探してそこに行っているのに。

それに僕は体育の授業を見学するので着替える必要性もない。

着替えの時間にそこにいる僕をじっとにらんでいるクラスメイトもいる。

正直、この時間は僕にとって居心地が悪い。


 体育担当の先生は月曜日の担任の火脚ひあし 紅炎かれん先生だ。

僕が所属しているクラスは一応特進クラスというていを持っている。

その中でも僕が所属している1年のクラスではなぜか日替わり担任という形を取っている。

しかもこういう形を取っているのは僕のクラスだけだ。

その5人の担任は全員が女性だ。

ちなみにこの学校の教師は全員が女性だ。

火脚ひあし先生はその中の1人ということになる。

火脚ひあし先生はもちろん僕の事情を知っている。(僕が体育の授業に参加できない事情を)

ところが、今日は様子が違った。

火脚ひあし先生は授業が始まるなり

「遠山(僕)、今日の授業は走るだけだから参加できるでだろ。」

と促してきたのだ。

確かに僕は走るだけなら体育の授業に参加できる。

僕が参加できないのは球技と格闘技だけだからだ。

いつもは授業に参加していないのでクラスメイトの熱視線が痛い。

どうやら先生は僕が元男と言うことで女子との体力差に配慮して授業を休ませていると説明していたようだ。(事実は全く違うんだけど)

結果として僕の今の体力は女子のそれと大して変わらない。

だから、授業が終わった後クラスメイトはがっかりしていた。

僕も変に期待させて申し訳なかったと気まずかった。


放課後、委員長にまた校舎裏に呼び出された。

よっぽど校舎裏が好きなんだろうなと思いつつ、校舎裏に向かった。

校舎裏に着くと委員長はいつになく真剣な顔でこう言った。

「いい、これからあの方からの伝言を伝えるわ。まず、最初に言っておくけど私はあなたと同じ能力者です。あなたと同じと言っても私は性転換をしていない純粋な女の子よ。私たちの世界では能力者は女性しか存在しないはずだった。性転換をして能力を得るなんて初耳だわ。そして私たちのいる特進クラスには能力者が沢山います。もちろんクラスメイトも純粋な女の子たちよ。あなたは性を失うと同時に巨大な能力に目覚めたと聞いたわ。それもチートなぐらいにね。そこであの方からの命令なんだけどあなたは仲間というか弟子を1ヶ月以内に5人作りなさい。それもクラスメイトの中から。友達作りも兼ねてね。」

いきなりの告白と命令に僕は戸惑った。

続けて委員長は

「このことは先生方も了承していることなの。ていうか、先生方の指示でもあるの。あなたはあの先生方の命令には逆らえないはずよね。」

確かにあのひとたちには僕は逆らえない。

そういう事情を委員長は知っているようようだった。

僕は仲間(弟子)を探す決意をした。

しかし、僕はあまり群れるのは好きじゃない。

まずはぼっちに当たってみようと思った。








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