仲直り
僕たちはある日、突然職員室に召集された。
メンバーは僕こと遠山 葵唯、
生徒会長で 僕の姉の遠山 聖雪、
炎の能力者でくノ一でもある 灰庭 忍葉、
風と水のダブルの能力者で巫女でもある神居 天巫
彼女は水の能力者としては開花したばかりだけれどもそれも確実に上位に入るぐらいの能力者になるだろうと誰かが言っていたっけ。
今は僕のもとで水の能力の訓練をしている。
そして最後は雷の能力者で僕が一目惚れした1年生、信桜 雨音だ。
彼女は能力者の幹部でもある三条橋 温奈直々の弟子だ。
いわば能力者になるために育てられてきたようなもの。
僕たちと志が違うかも知れない。
僕たちは職員室に着くとすぐに別室に通された。
そこは校長室とは違う部屋だった。
と言うのもかなり豪華な部屋だったからだ。
僕は最初、校長室かと思ったぐらい。
でも、部屋の名前を見ると特別指導室と書いてあった。
そしてそこの奥にいたのが三条橋先生だった。
彼女は何かしらの書類の整理をしていたが僕たちが来たのを見てにやりと笑った。
そして彼女は机の前に行きそして机を椅子代わりにして足を組み座った。
彼女は
「よくぞ来た精鋭たち。
あなたたちは選ばれし5人。
いわゆる幹部候補。
これからは授業が終わった後は必ずここに来るように。
私が直々に指導してやるから」
相変わらず上から目線の横柄な態度だ。
見た目小学生でこの態度だからそのギャップでなんだか笑えてくる。
これでも僕のクラスの担任だと思うと余計に。
余談だが彼女はえらく背が低い。
だから授業の時は教卓の上に立って授業を行う。
その異様な授業風景は最初は驚いたが今で離れてしまった。
まだ2年になって一週間ぐらいしか経ってないけど。
ちなみに彼女の担当教科は家庭科。
いつも上から目線の授業。
でもそれが大人ぶっている子供のようでいてカワイイと評判。
そして普段の彼女は普通の小学生と変わらない。
僕らより年齢がだいぶ上だと言っていたが。
授業の時やものを教える時だけなぜか高圧的な態度になる。
意識してやっているのだろうけど。
だから授業が終わるとどっと疲れた表情を見せて帰って行く。
きっと高圧的な態度は彼女の素ではないのだろう。
演じているのだと思う。
話を戻します。
三条橋先生は
「なんか雰囲気悪いわね。
こんなんじゃ修行にならないから一週間以内に雰囲気をよくしてきなさい。
分かったわね。
それまで修行はお預けね」
そう言って僕らを部屋から出した。
それにしても何て豪華な部屋だったのか。
三条橋先生は能力者の中でもかなり上の人だと聞いた。
だから当てられた部屋も校長先生よりも上の部屋だとそこかの先生が言っていた。
そして雰囲気が悪い理由も分かっていた。
神居さんと信桜さんだ。
僕は神居さんから信桜さんとのことの相談を受けていた。
僕だって雰囲気が悪い中で修行をしたくない。
だから僕は信桜さんの言い分を聞きに行った。
信桜さんは
「別に天巫ちゃんのことを恨んでいる訳じゃないの。
でも何も言わずに突然私の前から消えた。
それだけは許せなくてね。
しかもその後は消息不明。
連絡の1つもよこしはしない。
風の噂で能力者の施設に入ったって聞いたけど私のアンテナに入ってこない。
師匠(三条橋先生)によるともう能力者としては再起不能だろうって。
それが私が入学した時にはチャイルズの一員になっていたって。
裏切られた気分だったわ。
一体どの面下げて私の前に立っているのか。
本当にムカつく」
僕はこの後、彼女が嫌がるぐらいに天巫の説明をした。
そうしたら信桜さんは涙を浮かべて「苦労したのね」と一言漏らした。
その後僕は天巫と信桜さんを直接引き合わせた。
彼女たちは小一時間話した後、誤解が解け昔のように仲直りしたみたいだった。
僕は別場所で待機をしていた。
彼女たちのプライベートな話には立ち入れないから。
そして彼女たちは僕の前に手を繋ぎ現れた。
2人とも僕に「ありがとう」と言ってくれた。
それから一週間、彼女たちは暇さえあれば手を繋ぎ仲良くなっていった。
女の子の友達の距離感って短いって言うけどちょっと短すぎないかと僕は思った。
もしかして僕の初恋は終わってしまったのか。
と思うぐらい彼女たちは仲良くなっていく。
僕は思いきって問い質してみた。
彼女たち2人は笑って「ない、ない」と否定してきたので少し安心。
僕はそっと胸をなで下ろす。
彼女たち2人は
「なんでそんなこと聞くの?」
と不思議がって聞いてきた。
僕はその問いに答えることも無く逃げた。
だってこのタイミングで告白したら彼女たちの仲直りに乗じたことになる。
今はその機ではない。
僕は心の中でそう思い込みながら逃げた。
もちろん、赤面しながら。
一通り逃げた後、校内放送で僕たちは呼ばれた。
もちろん、特別指導室にだ。
どうやら本格的にチャイルズの修行が始まるみたいだ。
逃げた後だから少し顔を合わせるのが気まずいが。
一体どんな修行が待っているのか少し楽しみだ。
僕は教室に戻りジャージに着替え職員室に出向いた。
特別指導室は職員室を通り抜けなければならないから。
そして特別指導室に着いた頃にはみんなが着いていた。
三条橋先生は
「遅い!!
でも1人だけ気合いが入っているようね」
周りを見ると僕だけがジャージを着ているようだった。
そして僕はまた赤面した。




