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神居 天巫 〜後編〜

 (今回は神居かみい 天巫あみの視点でお送りします)


 え〜と、何から話しましょうか。

そうそう、前回の続きでしたね。

何処まで話しましたでしょうか。

あ、幼なじみの話でしたっけ。

私の無二の親友だった人のことを話したいと思います。


 といっても私が知っているのは「あまね」と言う名前だけ。

いつもお姉さんらしき人と一緒に神社に来ていた。

そして、そのお姉さんらしき人はいつも私の両親と難しい話をしているようだった。

幼い私には分からないような。

私はその人物は幼いながらなぜか両親よりも年上のように見えた。

両親はいつも敬語で接していたからだろうか。

そういえば新しく来た担任に似ているような。

気のせいかも知れないが。


  当然、妹は一人っきり。

私はその妹の面倒をいつも観ていた。

と言っても年は同じぐらい。

友達みたいな関係だったが。


 その娘と仲良くなるのにそんなに時間がかからなかった。

私はあまねとおままごとをしたり人形遊びをしたりして遊んでいた。


 ある日、うっかり私は人形を手を使わずに動かしてしまった。

超能力を彼女に見せてしまったのだ。

両親からはきつくそれを見せるなと言われていたのに。


 両親は常々、私が普通じゃないと世間に知られるとみんなから避けられてしまう。

だから超能力を見せてはいけないと言われていた。

だから、私はかなりヤバい状況だと一瞬にして思った。

でもその娘の反応は私が思っていたのと違っていた。

「すごい!!

もう一回見せて。

手品ではないんでしょう」

とグイグイ食いついてきた。

それも目をキラキラさせて。

それで私もつい調子に乗って

「そうだよ。

これは超能力だよ。

私だけの力。

でも、みんなには内緒だよ。

2人だけの秘密だよ」


 「え〜、もったいないよ。

みんなに自慢出来ることだよ。

一気にクラスの人気者だよ」

とその娘は言った。

私は当時、通学年齢には達していたが小学校には行っていなかった。

家庭の都合で家で学習をしていたから。


 当然、私も学校に興味があった。

「学校には行けてないけどここら辺で人気者になれるかな」

と私はあまねに聞いた。

「絶対人気者になれるよ」

とあまねは答えた。


 そしてあまねは意外なことを言った。

「実は私も超能力じゃないけど不思議な力を持っているんだ」

そう言うと両手を広げた。

そして彼女は何やら集中し始めた。

そうしたら右手から左手に何か線が走った。

それは青白い線だった。

その青白い線は次第に増えていき何十本となっていった。

そしてあまねは青白い線が増えていく度に次第に顔をゆがませていった。

まるで苦痛に耐えているようだった。

「これが限界」

とあまねが言うとその不思議な線はあっという間に消えていった。

私は「凄い」と反応するとあまねは否定的な顔をした。

あまねは

「こんなの超能力でも何でも無いよ

全然面白くもないしね。

それに師匠からこの戦を百本以上出せるまで毎日練習しなさいと言われるの。

おかげで学校にも行けやしない。

私も学校には憧れを持っているの。

それに私はあなたみたいに家族はいないしね」

私は

「え?

あの人はお姉さんじゃないの?」

と聞いてみた。

あまねは

「あの人が私の師匠。

私の親代わりの人でもあるけどね。

あの人、私たちと同じぐらいにしか見えないけどうんと年を取っているんだって。

あなたの両親の倍ぐらい。

本当はお祖母ちゃんぐらいの年だって言っていた。

本当か嘘か分からないけど。

でも私たちより年上であることは間違いない。

だって知識の量が半端ないから」

と言っていた。


 私はあまねに超能力を見せてから変に自信がついた。

両親の忠告を無視していろんな人にそれを見せるようになった。

そうしたらテレビまで取材がくるようになっていた。

一躍時の人だ。

小学生の私は舞い上がった。

でもそれは束の間だった。

いつしか私たち家族にバッシングがくるようになり周りの人たちも遠ざかるようになっていた。

でも、あまねだけは違った。

あまねは

「世間っていい加減ね。

ちょっとした違和感をトリックと言い張ってバッシングする。

本当の超能力なのに。

私はあなたの力が本物なのを知っている。

大丈夫、私だけは味方だよ」

と私を擁護してくれた。


 それからしばらくして私たち家族は離ればなれになった。

そして私はある施設に匿われるようになっていた。

唯一の親友あまねに別れを告げる暇も無く。


 その頃の私は自分のことで精一杯。

世間が私のことを忘れるのをひたすら待っていた。

気がついた頃には唯一の友達あまねと連絡が出来なくなっていた。


 あまねは怒っているのだろうか。

私が黙って彼女のもとを去ったのを。

一生友達でいようねと言う約束を反故にしてしまったのを。


 私はしばらくその事を悩み続けた。

長いこと悩んでいたと思う。

それでも高校に上がる頃には忘れていたと思う。

それまでが本当に長かったから。


 高校に入ると私は能力者であることを隠した。

と言っても長いこと隠していたけど。

素性を知られるのが嫌だったから。

それを知っていたのは小学校、中学校の担任ぐらい。

何せ私は特殊な環境下にいたから。


 特殊科を進めてくれたのも中学校の担任の先生だった。

特殊科とは私たちがいる能力者が集まる学科のこと。

と言っても能力者はクラスの半分。

私は学力組。

これでも猛勉強したんだから。


 でも、私が能力者だって見抜かれるとは思わなかった。

おかげで1年間は充実していたけど。


 そして、高校に進学してから1年後。

まさかあまねと再会するとは。

これからどうしたらいいのか私には分からない。









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