三学期
短かった冬休みも終え今日で三学期だ。
冬休みの間、いろいろとあった。
まずは前日あった雪合戦だ。
あれは本当にいろいろとあった。
そして次の日から実質的な冬休み。
冬休みの間は修行はなし。
弟子あるクラスメートたちは各々自主練と言うことにした。
僕はと言うと自主練はもちろんしていたが主にしていたのは自分を見つめ直すこと。
と言うのも僕はついこの間まで男だった。
その僕がいきなり性転換し女子校に放り込まれたのだ。
このことについて入学してからはゆっくり考えることが出来なかった。
だからいろいろと見つめ直す必要性があるのだ。
もちろんその期間は誰とも会わない。
自分1人だけの時間。
ゆっくりと考えることが出来た。
それにしてもこの僕が女子としてやって行けているなんて考えたこともなかった。
何せモテたことのない人生。
女の子と会話すらしたことのない人生だった。
ちょっと大げさではありますが。
あ、言うのは忘れていましたが彼女は過去にいました。
今では(恋人としての)縁が切れてしまいましたが。
一通り回顧した後、僕は思いつく限りの男の子の遊びをした。
心まで女の子に染まらないように。
と言っても僕はインドア派なのでまずは貯めていた少年漫画を読みふけった。
そして、貯めていた少年アニメを見まくった。
このとき、僕は自分が男だったことそして心は今でも男であることを再確認しまくっていた。
そして、その時が至高のひとときだった。
でも、それは長くは続かなかった。
年が明け、姉が来たからだ。
正確には1月1日午前0時きっかりにだ。
姉は僕の部屋に来るなり僕の意見を聞くことなく無理矢理振り袖に着替えさせられた。
「女の子は可愛くなくっちゃ。
女の子になっての初めてのイベント、初詣に行くわよ」
と無理矢理僕を外に連れ出した。
その日から僕は姉に女の子とはなんなのかを毎日四六時中授業されることになる。
何せ三学期が始まるまで僕の部屋に泊まりきりだったから。
不幸中の幸いは僕のコレクションを捨てられなかったこと。
見て無ぬフリをしてくれたことだけだった。
そして僕は早く三学期が始まることを願った。
三学期が明け、今日久しぶりの登校。
みんなどんな顔をして登校してくるのか楽しみだった。
三学期始め、最初に声を掛けてきたのは委員長だった。
「ねぇ、あなた、何をしたの?
何をしたらあんなことになるの?
どんな修行をしたら」
委員長の聞いてくることは要領を得ない。
どうも僕の弟子のクラスメートのことのようだ。
クラスを覗いてみると氷見谷さんと海城さん、芸林さんがいた。
3人ともいたって普通だ。
見た目は何も変わっていない。
でもその3人も何か事情が読めないようで焦っている。
芸林さんが
「師匠(主人公)、あの2人に何をしたんですか?
何をしたらあんなことになるんですか?」
と委員長と同じ事を聞いてきた。
そういえば僕の弟子である他の2人が見当たらない。
教室中を見渡しても彼女たちは見当たらなかった。
そして下を見ると小学生ぐらいの幼女が僕の近くにいた。
その幼女の1人が
「師匠、久しぶりです。
ところで(クラスの)みんなは何を騒いでいるのですか?
それとなぜクラスの人たちの背が急に高くなったのですか?
師匠も含めて。
私のことも気づいてくれないし。
師匠は分かりますよね。
私は灰庭 忍葉です」
もう1人の幼女も
「師匠も私たちのことを忘れたのですか?
私です、神居 天巫です」
実は僕は彼女たちがこうなってしまった事情に心当たりがある。
だから、僕は彼女たち2人を慌てて連れ出し人気のないところに連れて行った。
彼女たち2人には共通点があった。
それは幼くして能力に目覚めてしまったこと。
そして、僕の修行によって普通の能力者の域を超えてしまったこと。
その前に説明しておかなければならないことがある。
僕たちの能力には創造系と環境系がある。
創造系とはその能力を使って武器を作ることが出来る能力だ。
実は僕の姉も創造系の能力者で氷の武器を作ることが出来る。
灰庭さんも実は創造系の能力者だ。
炎で忍者系の武器を使って修行している。
僕は創造系の能力者ではないので灰庭さんの修行の面倒を姉に頼んでいる。
最近、メキメキと実力が上達しているらしいと聞いていた。
冬休みは山ごもりをして自主練をしていると聞いていたが。
そして、神居さんについて。
彼女は冬休みに入る直前、あることに気づいた。
彼女は風の能力者だが彼女の風がなぜか湿っているように感じた。
最初は僕は気のせいだと思っていたがそれは違った。
彼女はWの能力者だったのだ。
それに僕は気づいた。
彼女は風と水の能力者。
僕は冬休みに入ってから数日間、彼女の水の能力を伸ばすことに専念した。
その数日間で彼女は僕も驚くほどの水の能力を身につけた。
そして三学期が始まるまで彼女は自主練をしていた。
話を戻します。
僕は彼女たちに
「え〜と、まずは自覚が無いだろうから言うけれど君たちの背は小さくなっています」
彼女たち2人は一様に驚いていた。
「背が小さくなった原因は簡単なことです。
実は僕たちが持っている能力は大きくなればなるほど背が低くなるという不思議な性質を持っています。
理屈は分かっていません。
そしてなぜか人に指摘されるまで背が低くなったことに気づかないのです。
僕もそうでした」
そう言うと僕は幼女の姿に戻った。
「灰庭さんにはこの姿、見せているよね。
神居さんは初めてだと思うけど。
でも、この姿じゃ、生活に支障が出るので幻術を使って女子高生の姿になっています。
今から君たちにもそれを教えます。
それとこのことは国家機密だから誰にも言わないでね」
僕は一通りのことを彼女たちに教えた。
彼女たちは女子高生の姿に時間はかかったけれど戻ってくれた。
教室に戻ると一連の出来事は適当に誤魔化した。
何せ国家機密の出来事だから。
これから僕は彼女たち2人を監視しなければならない。
ふとしたことで幼女に戻ってしまうから。
これからしばらくは僕の部屋に僕を含めて3人の幼女が生活をしなければならない。
それを思うと気が重い。
最後に僕は彼女たち2人に
「僕たちみたいに能力が高すぎて幼女化してしまった女の子たちを「チャイルズ」と言います。
言わずもがな能力者のトップの存在です。
僕たちはこれから能力者の幹部としての教育を受けなければなりません。
これからが大変なので頑張ってください。
ちなみに「チャイルズ」はこの国には10人もいないと聞いています」
これからの共同生活、どうなることやら。




