そっくりさん
最近、妙な話を良く聞く。
その話の内容は僕にそっくりな人間がこの学校にいるということらしい。
世の中には自分に似た人間が3人いるという。
そんな人物がこんな近くにいるらしいという噂、非常に興味深い。
そんなある日の昼休み、いつものように友達?(弟子)の5人と共に昼食を食べていた。
いつも会話の切り出しはおしゃべりな芸林さんからだ。
「師匠(僕)、最近、合同訓練がハードすぎやしませんか。ただでさえ、単独訓練が厳しいんだからもうちょっと優しくしてくださいよ。いつも寮の部屋に帰ったら一歩も動けないぐらい何ですよ。」
と言うと、激しく他のメンバーが同意するのだ。
僕は切々と文句が出るたびに訓練の重要さを特のが日常になっている。
事実、彼女ら5人は大分実力がついてきたと思う。
最初に出会った頃とは雲泥の差だ。
そしてここから僕のそっくりさんについて話が移行する。
それがいつもの会話の内容だ。
僕は女子特有の会話がよく分からない。
どうやら彼女たちは僕に気を遣っているように見える。
本当ならファッションやアイドルなどの女子特有の話がしたいだろう。
そんな彼女たちの心遣いに僕は心苦しい限りである。
そんないつもの昼休みの光景がこの日は中盤から一気な変わった。
誰かが僕の教室を訪ねてきたのだ。
まずは委員長がその娘を見つけたようだった。
委員長は慌ててその娘のそばに駆け寄り
「そんな、わざわざ来て下さらなくても良かったのに。ご命令いただければこちらから伺いましたのに。」
と言っていた。
どうやら上下関係のある人物らしい。
そのうちクラスがざわつき始めた。
僕もよく見るとその娘の顔にビックリをした。
その娘の顔が僕に似ているように思えたからだ。
少し唖然としていると一緒に食事をしていた海城さんから
「あら、あの娘、師匠に似ていてかわいいわね。ていうか、そっくりだわ。違いと言ったら師匠が眼鏡をかけているのとあの娘が眼鏡をかけていないのと。それと師匠の髪型ははストレートのロング、あの娘はショートのポニーテールっていうぐらい。あまりにもそっくりでビックリだわ。」
確かに僕にそっくりすぎるのだ。
しばらくビックリしていると
僕にそっくりなその娘はクラスの人たちに向かって
「この中に遠山 葵唯(僕)って子がいるかしら。私はその娘に用があるの。」
と大きな声で聞いてきた。
僕はそそくさと彼女の元へ向かった。
彼女のそばまで行くと彼女はこう言ってのけた。
「へぇ、思った以上に私に似ているのね、あなた。」
と言い終わる直前に僕にナイフらしきものを突き刺してきた。
そして、僕は素早く避けた。
そのあまりの展開に僕は驚いた。
その様子を見ていた彼女は
「思ったよりやるじゃない。まぁ、このぐらいの攻撃避けれて当たり前なんだけどね。」
何なんだ、この娘は。
「改めて、自己紹介をするわね。私の名前は遠山 聖雪。2年生。この学校の生徒会長をやっているの。そして、ここからが重要なんだけど私はあなたの生き別れの双子の姉よ。」
いきなりのこの告白にクラス中がどよめいた。
「え!?双子と言うことは師匠は私たちより年上なんですか。」
そう、僕は彼女たちより年上なのだ。
というのも僕はある日突然いきなり女の子へと姿を変えてしまった。
女の子としての生活をしなければ行けなくなったのだ。
だから、リハビリという名の女の子としての訓練を1年近くしたのだ。
故にクラスのみんなより年齢が1つ上ということになる。
もちろんこのことは取り立てて話す必要の無いこと。
だからクラスのみんなが驚いたのだ。
それに風の噂で僕に生き別れの姉が存在することは分かっていた。
転校してこんなに早く会えるとは思わなかったが。
姉は
「ちゃんと能力者としての訓練をやってるみたいね。仲間も集めたみたいだし。一応、言っておくとあなたの所の委員長を使ってあなたに指示をしていたのは私よ。いつあなたの目の前に現れようかうずうずしていたけどやっと会えたわね。ちなみにあなたの所の委員長は私の部下。私たちはグループを作りながらお互いを切磋琢磨して向上させていかなければならないの。一応、将来のエリート候補だしね。もちろん、あなたも含めての話よ。これからも練習に励みなさい!!」
いきなりの情報の多さに僕は戸惑ってしまう。
「あと、もう一つ言っておくとあなたのクラスの委員長はあなたと同い年のはずよ。本当は留年する必要性が無かったんだけど、あなたの面倒を見てもらうために無理に留年してもらったの。彼女に感謝しなさいよね。」
僕の知らないところでそんなことが起こっていたなんてとても心苦しい。
そんなこんなで長い昼休みが終わった。
今日のこの昼休みはなんて濃く長かっただろう。
いきなり、生き別れの姉に会うし、影の指示者の正体を知ったし。
はっきりいってどっと疲れた。
そして、僕がこの学校に入れられた意味が少し分かったような気がする。
放課後、姉が僕の実力を知りたいと学校の地下室に来るようにいわれている。
学校の地下室とはある一定のレベルの能力者しか行けない場所だという。
その場所は後で委員長が教えてくれるらしい。
僕は生き別れの姉に聞きたいことがいっぱいある。
放課後、それをぶつけてみたいと思う。
(でも詳しい内容は内緒です!!)




