プロローグ
来校者編始まりです!
◆◇◆◇◆
学園祭も終わり、夏がやって来た。
紫苑は慌ただしい生活から一転、落ち着いた日々を過ごしていた。
しかし、
「紫苑様! やはり護衛をつけるべきです! というか、私をお供させてください!」
「片桐、少し落ち着いて……」
現在、一条家では紫苑の筆頭部下であり、お世話係(?)である片桐が紫苑に食い下がっていた。
その発端はというとーー
◆◇◆◇◆
遡ること数日前。
「今日は、転校生がこのクラスに来ます。いきなりですけど、仲良くしてください」
突然、紫苑のクラスの担任がそう言った。
当然、クラスは騒めく。
「紫苑、転校生なんていきなりね」
「そうだな。しかもこの時期になんて……」
席替えで隣になった愛梨と転校生について語る。
「はいはい静かに。今から紹介しますよ。ちなみに女の子です。
それじゃあ伊達さん、入ってきてください」
「はい」
まるで鈴が鳴ったかのような美しい声がドアの外から聞こえた。
「失礼します」
美しいお辞儀で入って来たのは、長い黒髪で白い肌、細い身体は今にも消えてしまいそうな儚さがある。
「初めまして、この度編入することになりました、伊達凛花と申します。よろしくお願いします」
クラスの男子に限らず、女子も彼女の虜となっていた。
紫苑も、綺麗な子だなと思って彼女を見ていた。
「紫苑、目線がいやらしい」
「おいこら、何を言い出すんだ」
愛梨がムスッとして、難癖をつけてきた。
「……紫苑?」
一瞬、伊達凛花と名乗る少女は紫苑に目を向けた。
そして、彼女が細く微笑んだことに紫苑は気がつかなかった。
〜続く〜