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とある男子高校生の裏事情  作者: 烏丸 遼
学園祭編
43/66

第14話



◆◇◆◇◆


 学園祭体育の部、午後。

 紫苑は午前中に少し無理をしてしまったが午後は3人4脚だけだ。

 

 そして、その3人4脚も無事終わった。もう紫苑の出番はない。あとは、綱引きと騎馬戦を応援するだけだ。


 そう思っていたのだがーー


「一条! 騎馬戦に出てくれ!」

「……はぁ?」


 そう言われたのは、綱引きの応援を終えて最終種目の騎馬戦を控えたときだった。


「なんで俺が?」

「……いや、それがだな。さっきふざけて騎馬戦の練習してたら、上に乗る奴が落ちて怪我しちゃって」

「……何してんだよ」

「騎馬戦の補欠は一条だからな」

「……そういえばそうだったな」


 というわけで騎馬戦に出ることに。しかも上。

 騎馬戦はクラスにつき3騎の騎馬がつくられ、7クラスが互いに上の人の帽子を取り合うサバイバル。つまり、21の騎馬が自分のクラス以外の帽子を取るのだ。

 もちろん自由に取れるので、今まで活躍してきたクラスが狙われる。ポイントを多く獲得していそうなクラスを狙うのだ。

 実は競技が始まる前に他クラスと結託することもできるのだが。

 残念なことに、紫苑のクラスは騎馬戦でターゲットになりそうだった。


 紫苑を下で支えるのは、クラスの中でもガタイのいい生徒だった。紫苑も決して体重が軽いわけではない。

 高さはそこそこ。力は紫苑もある。何より、安定感があった。



 21もの騎馬が同時にそれぞれのスタート位置に立つ。

 既に紫苑のクラスを狙っていると丸わかりなクラスもある。


 開始の合図が鳴る。


 真っ先に、狙った獲物に向かっていくクラスや、すぐには動かず待機するクラス。紫苑のクラスは後者であった。

 しかし、他クラスの騎馬が迫ってくる。しかも2クラス。明らかに彼らは裏で結託していた。

 6騎の騎馬が迫ってくる。こちらはもちろん3騎しかいない。


 開始早々、大きな試練にぶち当たってしまった。

 紫苑は出鼻を挫くために、先頭にいた騎馬上の生徒の腕を掴み、少し関節を決めながら引っ張る。騎馬上の生徒は、苦渋の顔になり、力が抜けてしまう。その隙を突き、帽子を取った。

 騎馬戦のルールでは、相手を殴る蹴る等はなし。掴むことは禁止されていない。そして、騎馬上の生徒の帽子を取るか、騎馬から落とせばポイントになる。

 帽子を取られたり、騎馬から落ちた者はすぐに脱落。先に相手を脱落させればいいのだ。

 1騎倒すと、その後ろから2騎、紫苑の騎馬に襲いかかって来た。残りの3騎は、紫苑のクラスの他の騎馬に対応している。

 2騎が紫苑の騎馬を左右からはさみ打ちにする。

 帽子を手で押さえて、取られるのを防ぐことは禁止されていないが、紫苑はあえて帽子を守らなかった。

 左右の敵が同時に手を伸ばして来た。

 それを両手を使ってしのぐ。

 右の敵の腕を掴み、捻って関節を決める。相手の腕を背中に回し、動けなくする。

 まるで、警察に取り押さえられた犯人のようだ。

 これで、右の敵から帽子を取られることはないので右に体重をかけ、左の敵を避ける。

 それと同時に取り押さえた右の敵の帽子を取り、脱落させる。

 その後、すぐにもう1騎の騎馬も脱落させた。


 その攻防が終わった頃。他の紫苑のクラスの騎馬は1騎脱落していた。

 紫苑は後ろから1騎の帽子を素早く取る。残り2騎。

 だが、敵は紫苑ではなくもう1騎の騎馬を狙い、脱落させた。紫苑だけになってしまった。

 だが、紫苑もその隙にもう1騎の帽子も取り、残りは1騎。

 一対一なら紫苑は絶対に負けない。

 姉さんから嫌というほど教え込まれた体術を生かし、遂に合計6騎の騎馬を退けたーーと言っても、紫苑しか残らなかったが。

 この一部始終を見ていた他の騎馬は、紫苑に近づくことを諦めた。

 紫苑はこのままじっと待機していても勝てるだろう。紫苑のクラスだけで6つも帽子を取ったのだ。

 結局、そのまま時間が過ぎるのを待って、騎馬戦は紫苑のクラスが優勝した。


◆◇◆◇◆


 全種目の競技が終わった。

 あとは閉会式だけだ。そこで結果発表がある。

 

 結果発表。

 造形:校長賞。担任似顔絵:全体15位。

クラス企画:学年3位。クイズ:準決勝進出。運動会:学年2位。


 紫苑のクラスの成績だ。造形と担任似顔絵は全学年共通なので、一年生が上位に入ることは難しい。校長賞が貰えたのは幸いだ。


 かなり善戦したことで、学年優勝を勝ち取ることができた。

 紫苑のクラスが望んでいたことだ。結果が発表されたのと同時に飛び上がって喜ぶ人もいた。紫苑自身もかなり嬉しかった。


 ブロックでは、2位。

 惜しくも優勝を逃した。同じブロックの三年生はとても悔しそうで、ブロック長は感謝の言葉を述べながら泣いていた。


 閉会式の最後。

 学園祭のテーマソングと共に、生徒たちの準備期間から今までの様子が撮影された動画が流れる。

 生き生きとして、楽しそうに友達と作業をする場面。外部からのお客さんに接待する場面。ゴールに向かって一生懸命走る場面。その他、クイズ大会や生徒が泣いたり笑ったりしている場面。


 今年の学園祭は大成功を収めた。


〜続く〜


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