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とある男子高校生の裏事情  作者: 烏丸 遼
第1章 組織加入編
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第2話

組織加入編 第2話です!

 


◆◇◆◇◆


 式の後、紫苑は用意されている自分の部屋に戻った。部屋は、各家ごとに分けられている。

 部屋には、先に戻っていた紫苑の部下の片桐がいた。


「お疲れ様です。紫苑様、紅茶でよろしいですか?」

「ああ、頼む」


 本当に気の利くやつだ。

 こちらが求めることを事前に理解し、実行してくれる。それに、今年度で片桐と一緒に活動するのは4年目だ。紫苑のこともよくわかっている。

 そんなことを考えていると、片桐が紅茶を持ってきてくれた。


「どうぞ」

「うん。ありがとう」


 最初に片桐と会ったのは、紫苑が中学校に入学したとき。片桐は、高校2年だった。そのときは、背の高い凄く綺麗な人だと思った。

 紫苑は姉さんから、この人がこれから自分の世話をしてくれる人だと紹介してくれた。最初は険悪な感じだったが、だんだんと打ち解けた。過去の話は、今は一旦置いといて、

 今思えば、高校に通いながらで大変だっただろう。

 片桐の美しさは年を重ねるごとに増している。背丈はすでに、紫苑が片桐を越しているがそれでも170㎝近くはあるだろう。

 何より、彼女の艶やかな笑みは大人の女性のもので、思わず釘付けにされてしまう。


「毎度のことだけど、片桐の入れてくれる紅茶は美味しい」

「ありがとうございます! ご満足いただけたなら幸いです」


ニコっとその艶やかな笑みを浮かべる。


「そういえば、恵理がいなかったな。あいつも当然組織に入るだろ?」


 恵理は橘家次期当主だ。入らないはずがない。


「どうやら、ご都合が悪いとのことです」

「そうか。あいつも大変だな」

「今回の決定を聞いたら、物凄く驚くでしょうね」

「俺、あいつに嫌われてるからな〜」


会うたびに恵理は、紫苑をにらみつけてくる。


「ライバル視してるだけですよ。嫌ってなどいないと思いますが……」

「ならいいんだけどな」


そんな会話を、笑いながらしていた。


すると一転、片桐が真面目な顔になった。


「ところで紫苑様、今回の決定をどうなさるおつもりですか?」

「どうにもならないよ。受け入れるしかない」

「そうですか……」


 どうやら片桐は、こちらの心配をしてくれているようだ。


「大丈夫だ。周りに支えてくれる人もいる。それに、片桐お前も俺を支えてくれるだろ?」

 紫苑は聞かなくてもわかる問いを、笑顔で言う。


「もちろんです!」


 片桐も、これ以上ないくらいの笑顔で応えた。2人の間には強い絆がある。何があっても、乗り越えられる気がした。


「だが、先に解決すべき問題ある。」

「今回の決定に反対の声が多かったですからね。」

「反対派の人たちは黙ってないだろう。何をしてくるかわからない」

「直接危害を加えられる可能性もありますね」


 反対派の人は、確認出来ただけでかなりいた。最悪、グループの崩壊になりかねない。


「さすがに叔母上には、危害を加えないだろう。姉さんも大丈夫だな」


 姉さんは、ああ見えてかなり強い。おそらく、組織の誰にも負けないくらい。そんな人に喧嘩は売らないだろう。

 個人的には、少し痛い目にあってほしいのだがーー


「そうなると、我々が狙われるのでしょうか?」

「多分、そうだろう」


 武闘派代表になったとはいえ、まだ新人。そんなに多くの人を従えることはできない。


「武闘派の人間の中にも、反対派が多いはずだ」

「前代表の澤登様は、15年以上代表の座にいましたから、影響力は強いですね」


 正直、武闘派を敵にするのはまずい。武闘派は国で言うと軍のようなもので、戦闘に長けた人物の育成を目的とする。

 それゆえ、武闘派代表は組織内で一番武力を持っている。


「武闘派が敵になれば、武力行使は確実。家ごと潰される可能性もある。俺も無事ではいられないかもしれない」

「そんなことありません! 紫苑様は誰にも負けません! 私はそう信じております」


 紫苑は苦笑いをした。これは少し大袈裟だ。たしかに武術には自信があるが、ある人ーー姉さんだけには、まだ勝ったことがない。

 中学生になり、武術を始めその才能が開花したとき、天才だと周りからはもてはやされた。だが、姉さんだけには未だ勝てないのだ。


「それに、もし紫苑様に危害を加えようとするものがいれば、容赦しません」

「それで片桐が怪我したら、俺が困る」


 片桐が静かに闘志を燃やし始めたので、宥める。紫苑のこととなると、周りが見えなくなるのが唯一の弱点だ。

 片桐もかなりの武術の腕前だが、今は秘書役として紫苑になくてはならない存在だ。


「片桐、お前は今後も俺の側で活躍してもらわなければならない。もしお前に何かあったら俺が守る」

「そんな! 私は紫苑様を守る側です!」

「そうだ。だから、俺はお前を守るから、お前は俺を守ってくれ」

「はい! 必ずお守りします」


 はっきりと力強く応えた。


「それじゃあ、夕食を食べに行こうか」

「はい」


 片桐は、何時も俺の右側の半歩後ろをついてくる。


「毒盛られたりしないかな」

「ご心配でしたら、私が毒見をしましょうか?」


 こんな冗談を言い合いながら夕食会場へと歩いた。


 夕食会場では、ギスギスとした雰囲気だった。豪華な食事だったが、味をよく覚えていない。

 片桐やその他の一条家の部下たちと、お喋りを楽しみ、夜になった。


◆◇◆◇◆


 今は姉さんを鷹司家の部屋から、引きずり出し紫苑の部屋で正座をさせている。お説教タイムだ。


「姉さん、あなたのせいで組織が危機に直面しています。おわかりですか?」

「はぃ。反省しておりますぅ」


 組織内で武術最強の姿とは思えない。自分で叱ってて、哀れみすら覚える。

 可哀想になってきたので、ここら辺でやめてあげよう。


「はぁ〜 2度と変なことしないでくださいね?」

「はい。わかりました」


 毎回このパターンだ。それでも、天真爛漫な姉さんは何かやらかす。そこが姉さんの長所でもあり短所でもあるのだが。


「ねえ紫苑、お姉ちゃんのこと嫌いになった?」


 姉さんは、本気で心配しているようだ。


「大丈夫です。嫌いになったりしませんから。そのかわり、協力をお願いします」

「うん! お姉ちゃんに出来ることがあったら何でも言ってね!」

「それと、白雪の安全もお願いします」


 まだ正式な組織な一員ではないが、何かあったら困る。


「大丈夫よ。白雪は私が守るわ」


 姉さんが守るなら安心だ。


「何も起こらなければいいが……」

「不安なら、お姉ちゃんと一緒に寝る?」

「早く帰ってください、姉さん」


 そう言って、千冬を部屋から追い出した。

 そして紫苑たちもそれぞれ眠りについた。だが、このときすでに、試練は目の前に迫ってきていたのだ。


〜続く〜


ここまで読んでくださり、ありがとうございます! 今回は片桐も登場しました。後から、白雪や恵理、愛梨も登場してきます。次話もできるだけ早く投稿します!

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