第7話
2話投稿しました。
◆◇◆◇◆
愛梨とのお出かけも無事(?)終わり、帰宅した。もうクタクタだ。精神的に。
「……ただいま」
「お帰りなさい紫苑様!」
片桐は今日も律儀に玄関まで顔を出して迎えてくれる。
この笑顔に癒される。
だが、試練はまだ続く。
◆◇◆◇◆
夕食の時間になった。
美味しい料理に舌鼓をうちながら、今日の愛梨との約束の話をした。
「……それでね、友達とまわる約束しちゃったんだ」
「……」
まさかの無言!?
「……片桐? 怒ってる? も、もしよかったら三人でまわればなぁーと思ってるんだけど……」
「……怒ってませんよ。ですが、二人だけでまわれると思っていたので……」
「ごめん片桐」
「いえ、私が近場のショッピングモールに行きたいと言ったのですから……」
「まさか知り合いがいるとはね」
片桐も怒ってはいないが、少し拗ねているようだ。
「……お友達より、私を優先してはくれないのですね」
「うっ……」
「いえ、いいんです。友情は大事ですから」
「片桐……悪かったから、これ以上俺をいじめないでくれ」
片桐に面と向かってそんなことを言われると、罪悪感に押し潰される。
「ふふっ、申し訳ありません。少し言いすぎました」
片桐の悪戯な笑みが浮かぶ。紫苑は溜息をつく。
「そいつも片桐のこと、凄い美人でスタイル良いって言ってたよ」
「まあ、嬉しいです」
「学園祭では、仲良くしてやってくれ。いい奴だから」
「あら、いいのですか? 私が他の男の子と仲良くして」
片桐は少し頬を膨らませて言う。
あ、そう言えば女の子とは言っていなかった。それに、片桐が他の男の子と仲良くしても嫉妬とかしないと思う。多分。少しするかも……
「言い忘れてたけど、そいつ女の子だよ」
ピシッ
え!? 一瞬空気が凍り付いたような……
「……そうでしたか。女の子でしたか。」
片桐はいつもの微笑をたたえ、話すが眉の角度が少しいつもと違う気がした。
「……もしかして、先日紫苑様を遅くまで連れまわした女性ですか?」
「……そうだけど……」
片桐が少し怖い。何故か冷や汗が止まらない。
「随分とその女性と親しいようですね。昨日私とデートして、今日はその女性とデートですか」
「い、いやデートではないよ。ただ買い物してただけ」
「紫苑様は私だけでは満足できなかったようですね」
「そんなことないよ! 片桐とのデートは楽しかった」
「はい。私も凄く楽しかったです」
「はぁ〜本当に遊んでただけだよ」
「……紫苑様、またデート行きましょうね。今度は、誰の目も届かない遠くに」
「う、うん」
片桐の声には有無を言わせない圧力があった。
「それと、今夜はまた一緒に寝ましょうね?」
「え!? また?」
「紫苑様はだいぶお疲れのようです。私が癒して差し上げます」
「いや、いいよ。大丈夫だから」
「……」
無言の圧力。
「……わかったよ」
「そうですか! では、少し早いですが寝ましょうか」
二人の女性のお陰でだいぶ疲れていた紫苑は、片桐と一緒に寝ているというのにベッドに入った途端眠ってしまった。
優しい温もりに包まれながら、穏やかな表情で寝ている紫苑を、片桐は微笑ましく見つめていた。
◆◇◆◇◆
そして、学園祭前日。
ここまで、クラスの方も実行委員の方も順調に準備が進んでいた。
「紫苑、お疲れ」
明るい声のする方を見ると、愛梨がいた。紫苑はちょうど、見回りが終わったところだった。
「愛梨も、お疲れ。似顔絵審査は終わったのか?」
各展示物の審査は、前日に行われる。当日は展示するためだ。審査結果は、学園祭の最後に発表される。
「今審査が終わったところ。なかなか面白いものが多かったよ」
「てことは、うちのクラス上位は厳しいかな。あんまり特徴ない担任だし」
「うーん。そうかも」
「でも、ブロックと学年では優勝したいな」
「そうね。クラスの皆頑張ってたし、優勝したいね」
「俺たちは実行委員の方であんまりクラスに顔出せれなかったからな」
「それは紫苑だけよ。私はちゃんとクラスに貢献したわ」
紫苑は結局、風紀委員の仕事で手一杯になってしまったのだ。
紫苑がムスッとした顔をしていると、隣で愛梨がクスリと笑った。
「紫苑、約束覚えてるよね?」
「ああ、一緒にいるってやつな」
「ちゃんと覚えてたんだ。偉い偉い」
忘れるはずがない。あの日はいろいろと大変だったし、忘れたら愛梨が怖い。
「……本当に明日ずっと一緒にいるのか?」
「そうよ。それと、明日だけじゃなくて明後日も」
「マジですかい」
一般公開されるのは二日間だ。明日と明後日。片桐がどちらに来るかはわからなかった。
「いいじゃない。今年は一緒に楽しみましょう?」
「はいはい」
紫苑は片桐と愛梨が仲良くなってくれと、切に願うばかりであった。
〜続く〜
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。次話もなるべく早く投稿します。




