プロローグ
いよいよ本編のスタートです!
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4月10日 15:00
〜九条本家・大広間〜
この部屋には、中央で東西に分かれ老若男女、様々な人が向かい合って座っている。誰一人として、喋る者はいない。そんな重苦しい空気が漂っている中、部屋の中央に座り正面を向いている一人の青年がいた。
一条紫苑。彼は、先日入学式を終えたばかりの高校1年生。今日は、わざわざ山梨県にある自宅から都内の九条本家に来ていた。
中学卒業や高校入学を祝われるためではないことは、本人も承知だ。 ではなぜここに居るかというと、高校生になった紫苑は今日から正式に九条グループの一員となるからだ。 さらに、今年度の組織内の担当職が発表される。
紫苑はこういった式やパーティーは、あまり好きではない。多くの視線に、それ以上の感情が入り混じっている。まして、中央に鎮座しているなど苦痛以外の何物でもない。
紫苑は、左右の人々を見る。比較的仲の良い鷹司姉妹や彼女らの部下、それぞれの家の当主たちがずらりと並んでいる。
自分の組織加入を歓迎する者、忌々しい視線を送る者、複雑な表情の者……
これから任される役職は何かなどと考える余裕もなく、早く帰りたいと思っていると現九条家当主、九条真美が部屋へ入って来た。
真美は、九条家当主の椅子に座ると早速語り始めた。
「紫苑さん。この度は、高校入学おめで とう。今日から貴方にも組織の一員として活動してもらいます」
「はい、叔母上。これからは組織のため尽力してまいります」
少し上ずった声で紫苑も応える。九条真美は紫苑にとって、叔母にあたるためこのように呼んでいる。
「いいお返事ね。期待しましょう」
紫苑は、本当に腹の底が読めない人だと思った。45歳にしては若く美女で、常に微笑を浮かべている。もう10年以上九条家当主の座にいるのだから、かなりの大物だ。
「皆さんも遠いところからご苦労様。それでは今年度の仕事の割り振りを発表しましょう」
役職は、大きく分けて3つある。1つ目は、幹部職。大体これには組織の主要8家の当主がなる。2つ目は、幹部の秘書やボディーガードなどの側近。分家の当主や子女がなる。3つ目は、九条本家に仕える執事など。これは、既に決まっている。
「千冬さん、発表してください」
「はい、叔母様」
千冬が人事担当だ。紫苑は、千冬のことを「姉さん」と呼んでいる。千冬は、スタイルの良いかなりの美人だか、時々突拍子も無いことを考える。
紫苑は、少し不安を感じながら発表を待った。千冬が美しい声で語り始めた。
「それでは、今年度の役職を発表します」
このとき紫苑は、千冬が彼をチラリと見て、薄笑を浮かべたことに気づかなかった。
〜続く〜
すいません少し中途半端な終わり方でした。
この後、千冬の発表が問題を起こします。
次話の投稿は、明後日の予定です!