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第6回 狙われる者

 謙蔵はアンドロイドの手と絡み合ったままの状態で、口を半開きにしながら固まっている。

 彼女は足の関節を曲げるにつれて彼の手から離れていく。ゆっくりと立ち上がり、謙蔵を透き通った眼差しで見つめた。


『個体思考管理型感情形成プログラム・ヒューマノイドシステム「EXプェンツァー」起動中。主人様のDNAサンプル取得済み。指紋サンプル認証済み。……お名前をどうぞ』

「えっ、い、入間謙蔵……」


 謙蔵は反射的に答えた。彼は固まった顔のまま、ゆっくりと立ち上がり、彼女をただただ見つめていた。


『いるま、けんぞう。謙蔵様ですね。主人のネーム取得、声紋認証管理システム形成。……EXプェンツァー三十パーセントまで構築完了。謙蔵様、ロック時に解除する声紋認証コードをお願いします』

「世界一のホバーボーダーになる男……」

『世界一のホバーボーダーになる男、ですね。もう一度、再確認のためお願いします』


 謙蔵は質問されるがまま答えていった。


『EXプェンツァー百パーセント構築完了。これから内部システム構成のため、スリープモードに入ります。数時間後に再起動、初期人格設定、容姿設定を行い、謙蔵様のマイアンドロイドになります。しばし……』

「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺はどうしたら……」

『内部システム構成のため、スリープモードに入ります。しばしお待ち下さいませ。ダウンします』


 彼女はまたどこか遠くを見つめたように動きが止まる。謙蔵は近くで顔を覗き込んでみるが反応はない。それでも胸のあたりはゆっくりと動いているようであった。

 その時、外からスピーカーを通した声が響き渡る。


「トラックの中にいるヤツ。そいつを連れて出てこい」


 謙蔵はビクンと飛び上がった後、トラックの隙間から外の様子を伺う。第三世代・空中戦闘型アンドロイドニ体とアーマードスーツを身にまとった三人が、ミサイルやらビームライフルやらを持ち、トラックに向けて構えていた。


「繰り返す、トラックの中にいるヤツ、そいつを連れて出てこい。そこにいるのは分かっている。状況によっては……」


 スピーカーを通して喋っている男は、ビームライフルでトラックの横めがけて射撃し始めた。


「おわわわわ。マジかよ……」


 謙蔵は頭を手で抑えてしゃがみ込む。


ーー最悪だ。


 謙蔵は彼女を両手で抱え込み、トラックから外へと恐る恐る出て行った。

 トラックの横に降りて彼女を足元に置き両手を挙げる。


ーーどうしてこうなってしまったんだ……。

アーマードスーツ

戦闘特化型の強化スーツ。基本的に腰には「エアウォーカー」と呼ばれる浮遊装置がついており、足元にはホバーボードの原理を活かした磁場盤がついている。

アンドロイドと同期することにより、スーツの性能を変化させることができる。

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