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第3回 本当の始まり

 横浜未来高校からボードを飛ばすこと十五分、昔使われていた鉄道が旧川崎方面へ向けてそのままの状態で残っているのが見える。昔は東京、川崎、横浜を繋ぐ主要な交通機関だったらしい。線路には草木が生い茂り、崩れ去った駅とおもわれる残骸がそのままの状態で残っている。

 謙蔵の目の前には地震により地面が圧縮されたためであろうか、線路がアーチ状になっている場所が目に入る。その場所で、彼はスピードを緩めて降り立った。


「今日もよろしくお願い致します」


 謙蔵はその線路のアーチに向かい一礼をして、電車のホームであったであろう場所に腰掛けた。

 バックパックの中にあった第二世代型アンドロイドを腕にはめて、ゴーグルを装着する。耳にワイヤレスイヤホンマイクをつけて電源を入れ、彼のマイアンドロイドである「相棒あいぼう」を起動させた。


『起動中起動中……声紋認証コードをお願い致しまス』

「世界一のホバーボーダーになる男」

『認証致しましタ。ホスト、入間謙蔵様ですネ。……プェンツァー起動確認。いつでもご命令下さイ』

「今日もボードの練習するから、ボードと同期して補助頼むわ」

『了解しましタ。……同期完了。ブースター残量が残り三十四パーセントですネ。このまま練習しますカ?』

「補助バッテリーを持ってきてるからそのままやるわ。とりあえず、レベル三の技からやるからいつも通りよろしくね」

『了解しましタ』


 謙蔵は軽く体全体をストレッチしてからボードに乗り、一気に加速してアーチの真上まで飛翔して様々な技を決めていく。

 エアフリック、ジャンプインザロック、エレベーター……。徐々に難易度を上げていく。


――風が心地よい。ボードに乗っているときは全てを忘れて熱中できる。


 太陽に向かいブーストした後、ボードのブースターを止めて磁力をオフにする。空中で一瞬ふわりと止まったのち、頭から降下していった。


『フォールダウンスタートですネ。地上十五メートル以上で磁力を最大にしてブーストして下さイ』

「了解。カウントダウンはいらないや」

『流石は謙蔵様。謙蔵様の実力ならば成功率九十二パーセントでス。いってらっしゃいまセ』


 上体を起こし、ヒラヒラとボードに風を受けながら落ちていく。アーチのてっぺんに差し掛かったところで、ボードを起動させ浮力を全開、ブーストする。

 地面スレスレで浮かび上がり、加速してアーチの中をくぐっていった。


『お見事でス』


 謙蔵は体を回転させてながら自由自在に飛び回る。耳には風を切る音だけが聞こえてきて、自分のスピードに合わせて風が語りかけてきているようで、それが謙蔵はとても好きだった。


『‼︎ 謙蔵様、目の前から高速で接近してくる障害物あリ』

「ん? 何も見えないよ?」

『いえ、スコープ機能に映っておりまス。今すぐ上空に浮上してくださイ』

「お前またバグったか? この前もそんなこといって前日のデータとごちゃ混ぜになってただけだったじゃんか」

『危険危険』

「よしてくれよ、相棒。何も、ぐぁぁぁっ」


 ボードのノーズに何かがぶつかった。謙蔵はなんとか態勢を戻そうと試みるが、そのまま芝生めがけて転がってしまう。後ろでは見えない何かが曲がっていき、駅のホームにぶつかった。

 謙蔵は足をボードから外して崩れていくホームの方に目をやる。すると、トラックが後ろの部分から徐々に現れた。透過エフェクターを使っていたらしい。


「な、なんなんだ」


 謙蔵は恐る恐るトラックに近いた。

ハンディ

ジェットスプリング・ホバーボードをコントロールするグリップ型の遠隔コントローラー。親指に当たるスティックを動かすことで浮力を調整できる。人差し指に当たるボタンは加速するためのボタン。基本は中指薬指小指にはめられている輪っかを前後に動かすことでスピードを調整する。

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