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第三話:作戦会議

ソルディスが駐屯場としている家屋に戻ると補佐役のマキシムが机の上に地図を広げて何やら書き込んでいる最中だった。

彼はその手元にざっと目を通すと、眉を顰めた。

「ディナラーデ卿の軍がここまで出張ってくるのは珍しいな」

王都から中々動く気配のない彼の軍がベネシェンド以南のこの村に兵を派遣してくるのは珍しい。

「トラント卿の部隊ですよ。あの人は所領がここに近いですし、前々から鉱山も有するこの地域を欲しいと狙ってましたから」

マキシムの説明に合点がいったソルディスは過去に王都で見た彼の人となりを思い出す。そういえば陥落の際、彼らの部隊は略奪・陵辱・殺戮にディナラーデ卿に窘められていた。

あの混乱の中で見せた彼の本性を鑑みれば、目の前にある鉱山に自分の軍を差し向けるのは当然だろう。それに今、ランクビットを守っているのは勇猛果敢で知られるランズール卿ではなく、16歳と年若い少年なのだから攻略も簡単だと思っているだろう。

それなのに彼はトラの威を借るキツネのように『ディナラーデ卿の軍』として進軍してきている。きっと勝てば鉱山を自分のものとし、負けても自分の軍の不名誉にならないようにという浅はかな知恵だと思われる。

「見張りからの情報では軍は街道をひたすらこちらに向かっているそうです。その数、2000」

マキシムの指差す先を見ながら、ソルディスは頭の中で戦闘の形を描いていく。

「しかしこちらの山道にも見かけぬ男たちの軍団が歩く姿が目撃されてます、こちらは凡そ500ぐらいかと思われます」

それは山越えのルートで騎馬では無理だがそこそこの山馴れした男ならば容易く越えられる道だった。

「先に山越組が奇襲か、それとも街道組みとやっている最中に背後に回り村へと入るか」

駐屯する兵隊は限られている。伝令に出す分を考え、二つに分けるのは難しい。

更に村の傍で戦闘が始まれば収穫前の農作物にも影響があるし、村全体もただではすまない可能性も出てくる。

「ベネシェンドへの伝令はクローリーとウェネットを。出立の準備は」

「出来ております」

大方の予測をつけていたマキシムは傍に控えていた伝令役の青年へと視線をやる。彼らは弁えたように頭を下げると、一刻を無駄にする事無くその場を後にした。

「どこかに陣営を構える気配はあるか?」

「今のところは・・・」

「そうだろうな。もし構えるとしたらここぐらいか」

ソルディスが示したのは村から近い平坦な平原だった。騎馬で街道を走ってきているならそこは最終的に陣を組むのに適したところだった。

ソルディスは水色の瞳で地図を睨むととんとんとん、と三つの場所を示した。

「見張りはまだ外に居るだろ?今の場所に伏兵がないか見てくれ」

マキシムは地図上で示された場所を見て、はっとした。確かにそこは目立たないものの奇襲を掛ける兵を潜ませるには適した場所だった。

「トラント卿っていうのが俺の知っている人ならば、連れているのは野盗上がりの傭兵が多いはずだ。適当な大義名分を持っているけど、したいのは略奪だ」

鉱山を押さえてディナラーデ卿に渡す前に彼らは村の人間から悉く略奪し、力での支配を確立するだろう。そのような事態は避けねばならない。

「前に旅芸人一座と一緒に旅していた時に野盗の攻撃の仕方を用心棒の人に聞いた。彼らが狙いを定めるとしたら、軍と軍がぶつかる少し後方、この辺りに横殴りで攻撃を仕掛け、更に分裂して村を襲うはずだ」

村を押さえられたら、こちらの負けだ。

彼らは村人の命を盾にして更に手を拱く兵を滅してゆくだろう。

「兵は3つに分ける。一つは主力として村の前面に陣をつくる。もう一つは村の中に潜み、市街戦になった際に伏兵として動いてもらう。最後の一つはこの道をとおり、この500の軍勢に対して奇襲を掛ける」

ソルディスが示したのは500の軍勢が進んでいるという道よりも更に厳しい山道だった。確かにこんな道を進軍してくるとは思わないだろう。

「それじゃ、もう一つの伏兵にまずくない?」

不意に響いた声に全員の目がそちらに向いた。


謎の男、登場。

登場人物が余りにも増えすぎて名前のストックが怪しくなってきています。

もともと外国人の名前ってあまり持ち合わせが無いので、主要人物以外は四苦八苦しながら搾り出してます。


話的に、展開しているのかしてないのか微妙な話です。

次回でもう少し話を動かしたいです。


大失態です。3話めにして人の名前の間違いに気付きました。

オージェニック卿の副官はフライアンテ卿ではなくランズール卿でした。

フライアンテ卿はランズール卿の甥です。

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