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第九話:夜陰の奇襲

ソルディスとフレイルの読みの通りに奇襲に失敗したトラント卿の部隊は村から距離を置いた場所に陣を張り始めた。

後続の部隊の到着を待ち、一気に攻め込んでくる予定なのだろう。

「今度はこちらから奇襲を仕掛けるのはどうですか?」

「いい手ではあるけど、村の防衛の方に致命的な隙ができてしまう」

グレッグの意見にソルディスはまだ少し幼さの残る顔を曇らせる。

先程追い払った伏兵部隊と、無傷の状態の本隊、計2300の兵がこの土地へと攻め込もうとしている。

地の利は少しだけこちらに有利に働くが、先程の伏兵の中に紛れ込んでいたような盗賊のような傭兵が多数居るとすれば、あまり優位に考えるのは危険だ。

更に言えば、こちらはソルディス・マキシム・フレイルを除いて剣を持ち始めてからまだ2年ほどの経験しか積んでいない。人を殺しなれている傭兵とそれらを比べるとやはり戦力の差が歴然としている。

かといって、ここで敵に投降したり村を廃棄することは避けたい。

(フライアンテ卿はそちらを狙ってるだろうけど)

ランズール卿から預かっている土地を放棄して逃げ帰れば、それだけ『ソリュード・アドラム』の評価は下がる。もしかしたら、トラント卿と裏で取引があり、ソルディスが引いた後に『颯爽と村を取り返す』手はずが整っているかもしれない。

「近隣の村に力を借りることは出来ないのか?」

フレイルは地図の中にある近場の村の数個に印をつけた。

「援軍って言うか……手伝いのお願いはしてあるよ。たぶん、それで明朝からの戦いはどうにかなるかと思うけど」

ソルディスは難しい顔のまま地図上の敵陣の周りの数箇所を指し示した。

近隣の村に助けを求めるための狼煙はすでに上げてある。

それに対してどれほどの村が答えてくれるかは不明だから、それを当てにするのは危険かもしれない。

「夜の間に、できるだけ仕掛けをしておいて戦力を削ぎましょうか?」

夜陰にまぎれての強襲の仕方はマキシムとソルディスの二人が自警団に一番最初に教えたことだ。

戦いは兵士の人数だけで勝敗が決まるわけではない。

作戦と地の利は勿論のこと、荷駄の確保や士気の持続でも決する。

極少数の兵しか持たないこの村では一番有効な手段だ。

「とりあえず、向こうの荷駄の位置の確認して燃やしておこうか」

「それが一番の手だろうな」

とりあえず出来ることだけでもしておかないと、長引く戦はこの村の自警団の人間には向かない。

ソルディスとフレイルの意見が合った所で、その場の全員が一斉に立ち上がった。

「副隊長、その役目、あなたには行かせませんからね」

「あ?」

フレイルを除く全員が口を揃えての宣言にソルディスはあんぐりと口をあけた。

それから跋の悪そうな顔でみんなを見ると頬を指先で掻きながら反論をしてみる。

「いや、俺、まだ行くって言ってないけど………」

確かに自分一人で行くつもりだったが、どうしてみんなにばれたのか。

そんな事を思っていると弁えたようにマキシムがわざとらしい溜息をついた。

「誰が『やる』と指示が無い場合ときはいつも自分でやってしまうでしょう」

「……確かに、そうだけど」

的を射た指摘にソルディスは困ったような顔をする。無表情でもこういう時の表情かおだけは解かりやすい。

マキシム達も副隊長ソルディスの考えていることは解かる。

これはすごく危険な任務だ。生きて帰ってこられる確率は低い。

だからこそ、今、この村の総大将たる彼を行かせるわけには行かない。

周りの気持ちもわかるのか、ソルディスは困惑しながら回りに視線を巡らす。

と、そんな彼の様子を楽しそうに観察しているフレイルと目が遭った。彼はソルディスに笑顔でうなずいて見せるとトントンッと指先で机を叩いて見せた。

「その面白い役目、俺に託してみない?」

軽い口調で問い掛けるフレイルにその場にいた全員の視線が集まった。

田舎の村のいざこざがいつまで経っても終わりません。

もう、さっさと終わらせたいのに……というのが本音です。戦とか、作戦とか、書くの本当に苦手なんですよ。

このいざこざさえ終われば、暫く、クラウス側の話に移行します。あちらは戦事が少ないのでもう少しちゃっちゃと勧めれると思います。

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