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父親は警察に通報した
同時刻。清水良平は警察に通報することにした。電話はすぐに繋がった。
『事件ですか。事故ですか』
「娘が誘拐されました」
『すぐに捜査官を派遣します。しばらくお待ちください』
八時十分。近くにいた春野と青田は良平に時事情を聞いた。
「昨晩。電話がかかってきた。娘を誘拐した。八時に警察に通報しろ。早すぎたら娘の命はない。九時に証拠を送る。九時五分にまた電話する。そう言っていました」
「実は娘さんの財布が被害者の遺留品から見つかりました。もちろん被害者は娘さんではありません」
「その話が本当なら美里さんは殺人犯に誘拐されたことになる。また捜査員を連れて来ます」
刑事たちは知らない。この誘拐が序章だという事を。