東都新聞社にて
八時。青田と春野は東都新聞社にいた。そこで被害者の上司の酒井に話を聞いた。
「昨晩高野健二が殺害されました」
酒井は驚かなかった。そのリアクションに対して春野は質問した。
「なぜ驚かないのですか」
「あいつは半年前リストラしましたからもう関係ない」
「では高野さんの交友関係はご存じですか」
「そういえば六本木のザーボンってバーで弁護士の菅野聖也と飲んでいました」
「菅野聖也。悪魔に魂を売ってでも罪も軽くしてしまう。司法の悪魔。そんな人と仲がいいのですか」
「はい。取材で知り合ったそうで。もういいでしょう。これ以上話すことはない。帰ってくれ」
青田と春野は東都新聞社の玄関前で話した。
「この事件に菅野聖也が絡んでいるとはな」
「動機は怨恨意外の可能性が高いだろう。たとえば国家的陰謀を調べていた高野を殺すために大物政治家が暴力団に頼んで殺してもらったとか」
「暴力団による犯行か。大物政治家が暴力団なんかに犯行を依頼するか。国家的陰謀なら普通はスパイによる暗殺が基本だろう」
「この日本にスパイがいると思いますか。スパイ映画の見すぎですよ」
「たとえばの話ではなかったのか。それよりそろそろ戻らないと捜査会議に遅れる」