あとがき
原作者山本正純です。
赤い落書き殺人事件Ⅰが完結しました。序盤でもいいましたがこれは壮大な前降りです。すべてはこの事件から始まります。
ここからはネタバレ注意のあとがきです。
序盤の猟奇殺人のような事件。壁には赤い文字の落書きが書かれている。実は落書きに深い意味はありません。思いついた文章をカタカナ化しただけです。カタカナにしないと文字がつぶれて判読不能になるのでその配慮です。意外に現実的な理由が存在します。
そして目撃者清水美里の誘拐事件。ここで殺人事件とタイトルに書いたのに誘拐事件が発生する奇妙な事態が発生しました。誘拐事件がメインになってしまいましたがタイトルを変更することはできませんでした。なぜなら『赤い落書き誘拐殺人事件』にしてしまうと意味が変わってしまいますから。
中盤から終盤にかけて誘拐犯は実際にすると必ず捕まる行為をしています。たとえば清水良平の自宅周辺で誘拐犯が電話するシーン。この自宅周辺には警察官がたくさんいるはずなのですぐに職務質問後逮捕されるでしょう。他にも誘拐犯がしてはいけないタブーが隠されています。そこらへんに注目したらもっと面白いでしょう。
殺人事件について。かなりのハイスピードで第一の事件が解決しましたがこれには訳があります。ここだけの話。実は第二の事件は想定していないものです。第二の事件は今後のストーリーに奥行きを付けるために付け足した事件です。そのため犯人が変わってしまう事態になってしまいました。
そして終盤にかけて明らかになる事件の背景となる悲劇。この背景は現実にありえそうな事例です。
社会問題となっているある事例をモチーフにした動機。現代社会を風刺した事件や社会問題に独自の切り口で解決方法を探ってゆく作品が続くはずです。
最後に次回作の紹介です。『赤い落書き殺人事件Ⅱ~最後の被害者~』あれから七年。事件は終わっていなかった。もう一つの悲劇が殺意を呼ぶ。
前作とは一転して典型的な殺人事件が展開されます。
ここまでこの駄作推理小説につきあってくれた読者様。本当にありがとうございます。ではここで一度筆を置きます。
また大工健一郎が登場する日が来るのだろうか。再登場の日はかなり遠い。




