正義のために
翌日。月影は捜査関係者を会議室に集めて裏付け捜査の説明をした。その捜査方法は異常な物だった。
「高野殺人事件の被疑者酒井は明日送検する予定だ。次に清水美里誘拐事件は送検するが動機は変更する。犯人の麻生と捜査を妨害した高崎に依願退職を勧めた。明日には警察を辞めるだろう。これで捜査本部を解散する」
月影は会議室を退室した。その後を追うように合田も退室した。
「月影監理官。あなたでしょう。大工に辞職を勧めたのは」
「ああ。彼は多くを語らなかった。これで容易に握りつぶせる。全ては正義のためだ」
その後合田は千間刑事部長に会っていた。合田を質問した。
「なぜ今回の事件を握りつぶしたのですか。清水美里の事情聴取をなぜ許可しないのですか。なぜ高崎と麻生を辞職させたのですか」
千間はこの質問に一言で答えた。
「警察の面子に関わるからだ。これでもいい方だろう。酒井の父親はそれなりの権力があったにも関わらず息子の犯した殺人を握り潰さなかったから」
そう言うと月影が入室して言った。
「やめろ。これ以上直談判すると君の首が飛ぶ」
そう言うと合田を強制的に退室させた。