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密会
二十三時。月影は菅野と車で密会をしていた。菅野は助手席に座わりメモリーを渡した。
「ファイルΩです。苦労しました。知り合いのハッカーさんに高野のコンピューターにハッキングしてコピーをしてから、オリジナルのデータにウイルスを感染させて破壊させましたから。これでファイルΩはこれただ一つです」
「ファイルΩは手に入った。後はどうしますか。千間刑事部長」
後部座席に座っていた男は言った。
「あとはこの事件を握りつぶすだけだ。このファイルには警察庁にとって不都合なデータが入っているからな」
「なるほど。警察庁に恩を売る訳ですか」
「ああ。機密ファイルに指定させる。この車内にいる人で協力すればそれも可能か」
「もう一人協力させましょうか。大工健一郎に。彼も関わっていますから」
千間は賛成した。
「それはいい。大工のはんこがあったら鬼に金棒だ」
「では車を出しましょうか。送りますよ。千間刑事部長さん」




