悲観の果て 6
麻生は自供を始めた。
「桜井とは交際していた。ここで自殺する直前に私に電話してきた。『脱税疑惑を着せられた。濡れ衣だ。助けてくれ。』その五分後だった。彼女が自殺したのは。彼女の遺品を整理した時に大工健一郎の脱税の証拠だった。ファイルΩという存在を知った時思った。ファイルΩを世間に交渉して大工の政治生命にピリオドを打とうと。だがファイルΩはどこにもなかった。そして葬式の夜高崎が桜井の幼馴染だという事を知った。二人で調べたら高野が入手したという情報を知ったので接触しようとした。そしたら高野と大工が密会していた。その場に酒井もいた。酒井とは偽名で接触して、殺人計画を持ちかけた。酒井は復讐のため私たちは正義のために結束した」
葛城が続いて自供を始める。
「そんな中、俺たちは中野条が近辺に潜伏していることを知った。そこで田村と再開した。彼女は彼を匿っていた。このままでは彼女は逮捕されると思い彼を仲間にしてどさくさにまぎれて逮捕しようとした。数日後酒井が暴走を始めた。酒井はついでに大工も暗殺しようした。私たちは彼を止めたが暴走は止まらなかった。犠牲者を減らしたい私は誘拐で大工を追い詰めようとした。それしか方法はなかった。中野条が田村に計画のことを話して仲間にしたなんて」
「最後になぜ暗殺を止めることができなかったのですか。あなた方はそれを止める立場だった」
「ファイルΩの関係者が殺される所を、指をくわえて待つことはできなかったから。最後に監禁場所として用意した東都映画館は思いでの場所だった。桜井と始めてデートをした場所だ。だからどうしても監禁場所は変更したくなかった。そう考えると桜井は止めたかったのかもしれない。ここで小木に電話をかけさせたのも、監禁場所に東都映画館を選んだのも、復讐するなっていう彼女のメッセージだったと思うのでな」
そうして二人は連行され赤い落書き殺人事件は解決した。