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点と線 1
合田と月影は関東地方強盗事件の調書を読んだ。調書は十ページに及ぶ物だった。合田は東京で起きた事件だけをを読んだ。
「東京の事件では重傷者がいます。名前は伊東太郎。五十歳。犯行当時中之条と鉢合わせになり重傷を負った。時間は午後十時。この事件を担当したのは葛城と麻生が所属する捜査一課六係」
「伊東太郎は伊東久美の父親だろう。それよりもこの事件が起きた日は大工健一郎の秘書が投身自殺した日と同じだ。覚えていないのか。名前は桜井真だ。確か彼女も同時期に自殺した」
合田は考えこんだ。
「同時期に偶然起きた強盗事件。まさかこの事件は。そうか。この事件の発端は半年前に起きた悲劇だった。」
「悲劇だと」
「この推理が正しかったらすべてつじつまが合う。その前に電話しませんか。東都マンションには上条がいます」