38/56
家宅捜索
十五時。浅草のマンションに彼女は住んでいた。そこで葛城と青田は家宅捜索をした。ドアはなぜか開いていた。目の前に飛び込んできたのはテーブルの上に置かれた三本のワイングラスだった。
「鑑識さん。このワイングラスの指紋を調べてください」
視線を少しずらすと何かで濡れた一枚の写真があった。その写真の匂いを嗅ぐとワインで濡れたことが分かった。その写真には十歳前後で七人の子供が写っていた。日付は十年前で、場所は教会だ。その写真には田村薫らしい人がいた。青田はその写真を見て言った。
「この牧師小木に似ていないか」
「そう言えばそうだ。小木のいる病院には結城がいたはずだ。青田。結城に連絡しろ」