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目的
「合田警部。さっきの間違い電話の逆探知ができました。一応行きますか。場所は東都大学です」
「東都大学。まさか」
合田は春野と斉藤に無線で伝えた。
「今すぐ東都大学に行け。確か午後一時から東都大学で大工健一郎が講演会をする」
『つまり一時間前には大工が大学に来る。誘拐犯の要求は大工の不正を公表しろ。この要求から大工を恨んでいる人物が誘拐犯』
「大工を恨んでいる人物なら暗殺をする気かもしれません」
『しかし矛盾していませんか。記者会見をさせろというのが要求だった。ここで暗殺したら要求が達成できない』
「後一時間が勝負だ。俺は声紋テープを鑑識に渡すために警視庁に戻る。麻生と上条と西野はここで待機だ。結城と中野は時間になったら東京駅に行け」