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臨場
八時五十分。清水美里の自宅のチャイムが鳴った。友人に変装した刑事たちが来た。合田が玄関のドアを開けた。
「良平君。久しぶり。あがるぜ」
こう言うとぞろぞろと家の中に刑事が入っていった。まず結城は盗聴電波を拾い始めた。上条と西野は犯人からの電話がかかるまでに逆探知の機械を設置した。結城が合田に報告した。
「どうやら盗聴器は仕掛けられていないようです」
「よし。上条。逆探知の機械の設置が済んだか」
「はい」
「十分後に誘拐犯から荷物が送られてくる。その後電話がかかるだろう。電話がかかってきたら上条と西野は逆探知と録音をしろ。交渉は麻生にまかせる。高崎と春野と斉藤と青田は車で待機しろ。すぐ犯人を捕まえるためだ。一通り確認したら西野と中野は鑑識に持って行け。俺は待機する。持ち場に着け」