オワリノハジマリ
登場人物
合田武人 警部
月影家康 警部補
北条宗茂 検視官
葛城清成 警部
春野明 巡査部長
青田純子 警部補
斎藤一成 巡査部長
高野健二 東都新聞社記者 半年前リストラされた。
清水美里 東都中学校三年生
清水良平 株式会社あかつき専務
伊東久美 コンビニ店店長
酒井忠次 東都新聞社記者
菅野聖也 弁護士
小木実 専門学校生
田村薫 フリーター
中之条透 指名手配犯
大工健一郎 国会議員
七月一日午後十時。この日の天の川は綺麗だった。木原は缶コーヒーを飲みながら夜景と天の川を眺めて今日を回想した。とにかく暇だった。何の事件もなかった。そんなことを考えている時男が背後にたち声をかけた。
「木原。煙草かと思ったらコーヒーかよ」
男の名は神津。彼の相棒だ。その時電話が掛った
『合田だ。上野公園で発砲事件が発生した。すぐ来い』
「木原。いくぞ」
「はい。神津さん」
二人は上野公園に向かった。
公園の時計は二十三時を指していた。現場には刑事たちが集まっていた。二人の刑事はその人だかりに合流しようとしたが、一人の刑事に呼び止められた。
「木原と神津。遅いじゃないか」
「合田警部」
「現場はあのブルーシートの中だ。もちろんブルーシートは我々が架けた物だ。雨が降りそうな雲行きだから。」
二人は合田と共に遺体を見ることにした。遺体は木に吊るされていた。ブルーシートの中にもう一人男がいた。検視官の北条だ。北条を見つけた合田が言った。
「北条。遺体の様子を説明しろ」
「はい。死亡したのは西野茂。四十一歳。警視庁捜査一課四係所属の警察官です。死因は心臓を撃ち抜かれたことによる射殺。木に吊るされていたので、猟奇殺人の可能性が高いと思います。事件とは関係ないかもしれませんが遺体の正面に落書きが書かれた壁があります。オワリノハジマリ」
合田がそれを聞き思いだした。
「気に吊るされた射殺体、その正面に赤い落書き。七年前の殺人事件と同じ構図だ」
刑事たちは知らなかった。この事件が前代未聞な大事件に発展するとは。