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「わ、私、そんなつもりでは…」口ごもりながら言う私を、クロードは厳しい目つきで見た。
「レイアさんは時々、あなたばかりが自分に寄ってくるせいで誰も友達が作れない、そう話しているんだよ。
僕にもその悩みを話してくれていた。」クロードは眼鏡をくいと押し上げながらそう言った。
「それが今回のことで彼女を怒らせる理由の一つとなっているんじゃないかな。
悪いけどもう、あまり出しゃばるのはやめたほうがいいよ。」
そしてレイアに向かって言った。
「この件、オリヴィア嬢が悪意があったとは言えないと思う。
だって君の服装はあまりに…
いやいや。
その、お仕着せに見えたとしても、新品だし、オリヴィア嬢の今着ている服よりずっと上等に見えるから、嫌がらせには見えない。
それに、どこの貴族でも使用人の衣類は厳重管理なんだよ。
だって管理しとかないと盗人なんかが手に入れて着用し、簡単に侵入してこれるから。
だから、オリヴィア嬢がどこかの貴族のお仕着せを手に入れる可能性は薄いんだよ。
そもそも、オリヴィア嬢は男爵家なんだけどそんなに裕福じゃあないから、
こういう高級そうな新品の衣服を手に入れるのはそこそこ大変なはずなんだよ。
わざわざ嫌がらせする余裕はないよ。
みんなそう思うだろうから、他の人の前ではこの話、もうしない方がいいよ。」
レイアにそう言うと、クロードは私の方に向いて言った。
「この服はあなたに返します。贈られた当人が、こんなに嫌がってるからね。」
私は彼からワンピースを受け取りながら、ボソボソと、趣味で自分で作った服で着てくれる人に感想を聞きたかっただけと説明をした。
涙が出そうなのでそんなに話せなかった。
なんとも情けない…
その間、レイアはなんだか軽蔑したように私を見ていた。
うちが男爵家で裕福ではない、とクロードが発言したあたりからだった。
でもクロードがレイアに振り向くと、彼女はさっと、悲しげに微笑む表情へと切り替えた。
その切り替えがあまりに鮮やかなため、私は驚いて涙が引っ込んだくらいだ。
帰りますとクラスを出ると、去り際に、彼がレイアに何枚か服をプレゼントするよと話しているのが聞こえた。
嬉しいですわ、と柔らかい返答も聞こえる。
私の時とは全く違う応対だ。ますます惨めに感じた。
とうとう涙が溢れてしまった。涙がワンピースにかからないように気をつけながら私は帰路を急いだ。
今後はレイアがどんなに困っていても、自分は助けを差し伸べないようにしよう!嫌みたいだし。
そう心に決めたのだった。
そのうちレイアは品のいい上等な衣類を身にまとうようになった。クロードのプレゼントのようだ。
そうすると、クラスの令息の何名かが、かわるがわる話しかけるようになってきた。レイアはにこやかに応対している。
服をまともにしたら、話しかける人、やはり増えた。
でも女子生徒達は相変わらず遠巻きだ。
それでも、自分はもう彼女のそばに行くつもりはなかった。
きっと男爵家程度の、さほど裕福でない者とは、友人となりたくなかったんだろうから。




