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それからも、私はまめにレイアに話しかけた。
もちろんこのクラスには、学級委員もいるし、担任の先生もおり、レイアへはちゃんと学園で必要なことを連絡はしている。
でも彼女は、何か連絡されるたび、困った顔で、周りに助けを求めるように見回している。
普通の生徒なら事務的に通知される程度でも、自分で対応できるんだろうけど、何かわからないことがあるのかな?
自分はそう思って、すぐに助けの手を差し伸べたりしたのだ。
助かります、ありがとう、レイアはそんなときつぶやくように礼を言うのだった。ただそう言いながらも、苛つくような目をされることがしばしばある。
…彼女、私のことを出しゃばりすぎだと思ってる?
それとも言われていることが、あまり理解できていなくて悔しいのかしら?
…もしかして、これまで虐げられて、さほど教育を受けず生活していたのかも?
貴族でも、時折ある話なのよね…
彼女、クラスの女子生徒への挨拶も、あまりきちんとできていないみたいだし…
そんな自分の思いを、入学前からの友人達に話してみた。
残念ながら彼女らとはクラスが別になっていたので、説明に少し手間取った。
友人達は話を聞くと、それは学園側が気にすることで、あなたが面倒みる話じゃないわって口を揃えて言った。
そもそもレイアって子、たいしてあなたに感謝していないようだから、もう関わるのやめたほうがいい。
それよりは今のクラスでレイア以外に女の子の友達を早く作るべきだわ!
そう言ってくる子もいる。
…そのほうがいいかも。クラスで他に同性の友人がほしい。自分もそう思う。
それでも、レイアの、あの格好は見過ごせなかった。
格好さえマシにすれば、お人形のように美少女なので、友達もたくさんできるのではないか。
また、本人も自信を持てて、おどおどしなくなるかもしれない。
でも私は新品の服を他人へ買い与えるほど裕福ではない。
自分の古着をあげると、なんだか嫌味になるし…
そこで私は、自分の小遣い、何ヶ月か貯めていた分を全部使って、新しい布地を買った。
シワや汚れが目立ちにくいしっかりした生成りの生地だ。
そしてレイアのためのワンピースを自分で縫いあげた。仕立てに回す代金はさすがに無い。
まあ、これまで趣味で様々な服を作ってきたので、出来るはずだとは思っていた。
私は学園の勉学の傍ら、お針子の資格も取りたいと思っており、これまで様々な縫い物はしている。
貴族令嬢はハンカチなどの小物の刺繍などは、幼少時から嗜むため、自分より得手の人はたくさんいるだろう。
でも大がかりな服などは、作成する人はさほど多くない。
自分は素人の学生にしては、まあまあの腕前だろう。
彼女の正確なサイズがわからないので、上から被るタイプの簡単な形にした。
そして早く服を渡したかったから、時間のかかる刺繍は省く。
生地が足りないこともあり、フリルもつけなかった。
地味になるかと思ったけど、清楚な感じの素敵なワンピースが出来上がった。
うちの男爵家は、さほど裕福でないから、あまり新しい服は着れない。
だから、これ、自分で着たい感じなんだけどね!
…レイアに渡してみよう。喜んでくれたらいいけど…




