12
翌日、学園に行くと、クラスは妙な雰囲気だったわ。
レイアの取り巻き達は、非常におとなしくなっていた。まるでレイアなんて知らない、そんな雰囲気なのね。
下校時間になり校門のあたりで叫び声が聞こえた。守衛さんと誰かが押し問答している。
「入れて!苦労してやっとここまで辿り着いたのに!私ここの生徒なんだから!」レイアの声だ。
でも皆、素知らぬ顔で帰りの馬車に乗り込み、レイアのことはチラリとも見ようとしていない。
馬車の用意のない生徒達は、みんな裏口へ向かっていた。
少し歩くと乗り合い馬車の停留所があるから、そこへ向かうんだろう。
校門を通る方が、はるかに距離が近いけど、みんなトラブルを避けたいようだわ。
「クロード!クロード!」レイアが叫んだのでその方角を見たら、帰りの馬車に乗り込もうとしているノービア子爵令息が、肩をびくっと震わせたのが見えた。
彼はため息をつき、立ち止まった。どうやら少し話をしないといけない、そう心に決めたようだ。
そして校門の前につかつかと歩み寄って行った。「僕にまだ何か用がありますか?」
レイアは微笑んだが守衛に羽交い締めにされている。
「ああクロード!やっぱり私を迎えに来てくれたのね!
私、あなたと正式に婚約をしてさしあげてもいいと思ってるわ!
ねえクロード、この無礼な守衛を、私の体に触らないよう言ってよ!」
レイアが拘束を振りほどこうと体を揺すると、守衛は羽交い締めの力を強めたらしく、「痛い!痛いわ!」レイアはそういい出した。
「僕は君とは婚約しないよ」クロードはきっぱりと言った。
「なんでよ!なんで!」レイアは暴れ出した。「私がただの平民だから?皆がそういうの。皆の方がおかしいの!」
「僕は君が平民だから婚約しないんじゃあないよ」
「…え?」
「僕は、例え平民の女性でも、尊敬すべき女性なら、そして愛する女性なら、婚約してもいいと思っている。」
「…な、なら、なら!」レイアの叫び声は大きくなった。
「私、本当はね、実はね…
ただの平民なの!
…それでもいいんでしょ?
二人は問題なく婚約できるのよね!」
「…君は僕に嘘をついた。僕が君と婚約しないのはそのせいだよ。
僕の家系には、嘘つきの血は入れたくないんだ。
君が本当に高位貴族だったとしても、お断りだよ。」クロードは唇を噛み締めて立ち去った。
「そんな!」レイアの声が後を追った。「クロード、クロード!」
「いい加減にしろ、こちらに来るんだ!」
守衛がレイアを引きずって校門あたりから引き離した。
その様子を見ていると、いつの間にかクロードが近くに来ていた。
「ここはすぐに離れたほうがいい。君は彼女にかかわっていたし、とばっちり受けるかもしれないよ。」
私はすぐ裏口へまわり、乗り合い馬車で帰宅した。




