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「…皇妃様が気にかけられたので、レイアは心の病を持つ子供等の病院に通うこととなった。
だが孤児院を出ないといけない年齢となっても、どんなに美しくても精神に問題のある子を引き取ろうという家は現れなかった。
…まあ、実はあるにはあったらしいが、あまりよろしくない話なので、
皇妃様がじきじきにそこは断るようにとおっしゃられ、その話は無くなった。
とうとう孤児院を出ることとなり、レイアは病院へ通いながら職業訓練校に通わされた。
本人は不本意らしかったようだが行く先はそこしかなかった。
寮まで入れるよう特別に手配してもらえていたが、周りと合わず、精神状態は悪化し、入院となった。
このことで皇妃様はさらに気に病まれた。
ある医師が、精神病院にずっと放り込んだままだと、永遠に回復しないかもしれないと言ったことをきっかけに、レイアを、本来なら通う年の学園の生徒として通わせてみたらどうかという話になった。
同世代の普通の者達と共に生活させてみたら、周りの影響で本人も普通に判断できるようになり人並みに暮らせるようになる可能性はある、とのことだった。
皇太子殿下がレイアを訪ねたのは、わざわざ出向いたわけではない。
学園の近場に用があった皇太子殿下に、皇妃様が、レイアがうまくやれているか、見てきてちょうだい!と依頼したからだ。
殿下はレイアと初対面であったが、精神に問題を抱える相手だと聞いていたこともあり、緊張させないよう気軽な感じで挨拶したらしい。
だがそれを見た者達は、これまでも二人は親しかったのではないかと勘違いした。
レイアは皆のその勘違いを利用し、皇太子殿下と以前から繋がりがあるように振る舞っていたらしい。
皇太子殿下はそんなことになるとは知らず、皇妃様へは、レイアさんは大丈夫そうですよと報告した。
問題が表面化したのは、一年生の交流パーティーだ。
皇女様宛に、ノービア子爵の令息クロード氏が、私のパートナーであるレイア嬢です、皇族の血を引く彼女と仲を深めたいと思っております、と挨拶したという。
皇女様は、皇妃様からレイアの話は聞いていた。そして本人が吹聴した皇族の血を引くという話が周りに信じ込まれており、正式に婚約を考える貴族まで出てきたことに、危機感を覚えた。
もう彼女を学園へ通わせることは止めるべきだ!と、皇妃様へ急ぎ話しに行ったのだ。
精神に問題があるままのレイア本人ばかりを尊重しすぎている。
このままでは周囲が大迷惑となってしまうと。
「というわけでレイアは学園に今後は通わないこととなった。
むしろ最初から居ないことになった。手続き上、そのほうが都合が良いそうだ。」そしてお父様は小声になって続けた。
「この件に皇妃様がかかわられていた、ということをできるだけ隠したいらしいからな。
そして、我々保護者に連絡が急ぎで来たのも、レイアが美しく人気であったため、ノービア子爵令息以外にも、婚約を正式に申し込もうと考えている者がいたら困るからだ。
本来は婚約ともなれば相手を調査するが、若者は早まって先にまわりに話を広めてしまう場合などあるからな。そうなれば後始末が面倒だ。
また、同性でも、影響される者が出ておるかもしれんしな。」
「はあ、お話はわかりました。ところで、レイアはどうなるんですか?」
でもお父様は、そのことはわからない、と言うのだった。




