6話 屋敷での交渉
屋敷に着くと、アルが心配そうに出迎えてくれた。
どうやらアルは、私が遅いので迎えに行こうと、部下に探させていたらしい。
本当なら図書館も探したはずなのに、だれもいなかったという。
どうやら入れ違いになっていたらしい。
とりあえず部屋に戻ると、こんさんを連れてご飯を食べようとしたら、「俺のことは、話さぬ方が良いと思うぞ」と言ってきた。
なんでだろうと思ったが、どうやら国民や貴族にとっては、魔の者という存在は存在自体が邪悪そのものであり、そう考えているのは、国王の側近である、アルも同じだと思うからだそうである。
そこで、こんさんは部屋の中に置いておいて、私だけ夕食を食べた。
いつも以上にお腹が減っていたため、いつもよりもはやく、たくさん食べてしまった。(太っちゃうよー)
その後、急いでこんさんの元に向かったものの、こんさんはどこにもおらず、あちこち探していても、やっぱりだれもいないと思い、泣きそうになったその時に、「なぜ涙目をしておるのじゃ」という声が聞こえてきた。
どこから聞こえてくるのだろうと耳を澄ませてみると、どうやら私の心に響いているらしい。
周りをみていると、「上じゃよ」という声が聞こえてきたので上を見上げると、こんさんが、天井にはいつくばっていた。
趣味?と聞くと、「趣味なわけあるかよ」と返されてしまった。
俺様口調がないねというと、
「お前が俺に突っ込ませるようなことばっかりいうからやってられなくなっただけだから、さっきの口調はキャラづくりなの!」
と言われてしまう。
色々と話がそれたが、なぜ天井にいるのかと聞くと、私が食事をしていた途中でなぜか、ライさんが(私の世話をしてくれているメイドさん、名前覚えてる?)
なぜか部屋に入ってきたらしい。
どうも、アルに命じられたらしく、「ルーの魔力が高くなっていた気がした」という理由で部屋を探らせたらしい。
プライバシーの侵害だと訴えたいところだが、怪しかったので調査しただけだと思うし、らいさんに罪はない。
しかし、こんさんが言うには、問題となるのは、アルが、私がこんさんのことをかくまっていることがバレているかもしれないらしい。
なぜバレたと思ったのかというと、私は部屋に行った際に、私が話をしている間に魔法(幻術)によってこんさんが部屋に行くという作戦をとったのだが、その時に目があったらしい。
なら、なぜ調査をしたのかがとても疑問に思うが、確認なのかなと思う。
でも、私と魂をつなげたこんさんは普通の人間サイズになっているため、普通に目が合っただけだと思ったのだが、その期待は次の瞬間裏切られてしまう。
なんとびっくり、突然アルが部屋に押しかけてきたのである。
そして、こんさんをみるなり「やっぱりお前がいたのか」と、めんどくさげにつぶやいていた。
いやはや、もう確定でバレましたね。
もう少しうまく隠せていたと思ったけど、バレバレでしたね。
しかし、困ります。
アルは、国王の側近なわけで、当然国王に忠誠を誓っているわけだ。
当然、こんさんのことは届け出る可能性のほうが高いわけだ。
「終わっている」と思ってこんさんをみると、さっきまでの様子から嘘のように、すごくリラックスしていた。
いや、どういうこと?
説明を求めようとこんさんをみると、こんさんは、私と会ったときや、それ以上に尊大な笑顔を浮かべていた。
何があったのか全く理解できないが、何か裏があるのかもしれない、と思っていると、突然アルが、
「貴方様が私の婚約者と繋がっていたとは思いもしませんでしたよ」
と言っていた。
私に誰か、説明をしろやー