5話 こんさんの話
こんさんが言うには、こんさんも本が大好きで、本に封印されていたのも、本に思い入れがあったからなんだそうで、封印されていた1000年間の間や、それ以前の本も知っているため、本の知識を与えることで、知識という名の力を与えると言ってきた。
その代償に欲しいものが、私の肉体の一部らしくて、本人曰く、「人間の身体にいたほうが楽だから」だそうで。
ちなみに魔の者には、魂や、魔法の流れが読み取れるらしく、そのせいで、私の中に2つの魂があることを見抜けたらしい。
普通に面白そうな契約だと思う。
本の知識が手に入るのは、うれしい限りだし、普通にこんさんが友達になってくれたらうれしいな、と思い、試しに、「これから友達でいてくれる?」と聞いたら、「いいであろう」と返事をもらえたので、友達になった。
実際には、同じ体の中で魂が繋がっているので、友達よりも深い関係になりそうではあったが、これからの生活が楽しみになってきた。
そして、いざ術を行うこととなる。
こんさんは、いかにも魔法っぽい、幾何学模様を書くと、そこの真ん中に私を立たせてきた。
そして、宇宙語に聞こえる言葉で呪文をいうと、最後に私にもわかる言葉で、「我とこの術の影響を受けることのできる人間との魂を繋げ、我の魂をその者の肉体の一部に宿らせたまえ」
と言った。
赤色の光が出てきたと思ったら、突然何かが繋がった感覚があった。
これで私の体に入ったから、ここには私1人になったと思っていたが、なぜかこんさんがいた。
しかもこんさんは、先ほどまでと打って変わってしっぽが増えていた。
しかも9本に増えていた。
しかし、なぜ宿らなかったのだろうか?
それについてはこんさんが、「ルーの抵抗が激しいから、うまく宿れなかった。」らしい。
ちなみに、抵抗は、人間が魔の者に対して、特に魔の者の魔法に対しての耐性のことらしい。人間であればだれしもが持っているものだが、抵抗の強弱には個人差があるらしい。
そして、私はめちゃめちゃ抵抗が強かったらしい。
そのため、魂をつなげるところまではなんとか成功したものの、
そしていよいよこんさんと魂を繋げて、肉体をこんさんに貸すことになった。
やり方はこんさんが知っているため、とりあいず広いスペースに突っ立っていると、周りに魔法陣らしき紋様が描かれ、なんかの呪文を言った後に「発動!」というと、魔法陣が赤く光り、魔法が発動した。
魔法の発動は、思ったよりも簡単にできたが、残念ながら、俺の肉体の一部を間借りしようにも、俺の魔の者への術の抵抗が思ったよりも強くてできない。と言われた。
抵抗とは、人間が誰しも持っている、魔の者の魔法に対する耐性のことで、これの強さには個人差があり、弱いとないのと変わらないレベルで、強いと派手な攻撃系の魔法でも弾かれるらしい。
今回の場合、私はかなり抵抗力がある部類らしく、魂をつなげるところまではなんとか成功したが、体を借りることはできないようだった。
しょんぼりしているこんさんをみると、さっきまでとようすがことなっていることに気がついた。
尻尾が、1本だったのが、9本になっていた。
これには、こんさんもびっくりしていた。
個人的には、それでもかわいいと思っているが、本人はとても動揺していた。
「どうしたの?」と聞いてみると、尻尾が9本になったことについてだった。
こんさんは、魔の者の中でも、たくさんの知識と、魔法を知っている知識ノ魔の者と言われる存在らしく、人を食べることはもちろんないが、人をたくさん食べた魔の者に匹敵するらしく、普通に危険な部類。
さっきの話は、危険がないという点に関しては、嘘だったわけである。
そして、その「知識ノ魔の者」は、どれも獣のような見た目と、高い知性や言語を持っている者たちで、そのものたちには、普通の動物と変わらないしっぽがあるらしい。(一本だよ)
そして、1本の尻尾が9本になったのは、人間と、知識ノ魔の者との「盟約」が成立することらしい。
盟約は、知識ノ魔の者を、人間が全力で保護することと引き換えに、知識ノ魔の者が持っている力を全て授けることらしい。
つまり、身の安全と自分の能力との契約らしい。
こんさん曰く、「ダメ元でやってみるのもありなのかもしれない」と、考えたらしい。
役目をもらった以上はしょうがないことだし、こんさんを引き取ることにした。
こんさんも、特に反対はしないし、大丈夫だろうと、軽い気持ちで屋敷に帰るために荷物をまとめ、身支度をし、帰って行った。