47話 閑話(レインさん視点) 作戦
レインという名前は、父につけてもらった。
雨の日に生まれたからというのが理由らしいが、正直よく分からないし、どうでもいい。
私は、産まれたときから捨てられていた。
このくにはかなりいい国だと言われていて、孤児などを見捨てることはないと言われているが、それはウソだ。
私は捨てられた。
見た目のせいだった。
白髪と赤い瞳は生まれつきだったし、産まれたときから言葉が分かるから、捨てられそうになっていることも分かった。
その時は、泣き叫んだ。
泣けばなにかが変わるのではないかと思い、ひたすら泣いた。
しかし、その結果が孤児だ。
両親は死んでしまった。
私が泣くことで生み出された雨で体を蝕まれてあっという間に。
悲しいとは思わなかったし、思えなかった。
新しい生活が始まるからだ。
ずっとずっと、物乞いや盗みを繰り返すことで生きてきた。
不思議と、だれにもバレずに盗むことができた。
このまま生きていこうと考えていたある日、一人の男女が、私を拾いたいと言ってきた。
最初は警戒したものの、すぐについていくことを決めた。
絶望したら殺せばいい。そんな考えを胸にいだけながら。
しかし、わたしを拾ってくれた夫婦は、わたしに
「普通」
を教えてくれた。
愛情を持って育ててくれた。
私が二人に引き取られてから15年が経った日のこと。
不思議と私は年齢とともに、肉体が生長しなくなっていった。
そのため、力仕事や家事などは私がやっていた。
いつものように水を汲みに行っていた帰りに、
『ドン!』
という音が家から聞こえてきた。
なんの音だろうと思い、家に帰ってみると、二人が倒れていた。
横には、軍服を着た軍人がいた。
そして私をみるなり、その手を引いて連れて行こうとしてくるが、それ以上に私は、二人の様子が気になった。
二人は、血を流していた。
それを軍人は、踏みにじって歩いていった。
そして、怒りに任せて、使いこなせるようになっていた呪術を発動し、軍人を殺した。
だが、私は分からなかった。
夫婦が二人とも生きていることに。
私の攻撃は無差別だ。
だからこそ、私が一番大切に思っているものまで奪われてしまう。
二人が最期に言い残したことばは何だったと思う?
「幸せになってね」
だよ。
自分のことを心配してくれない二人に、涙が止まらなくなってしまう。
そして私は、そのまま雨を降らせ続けた。
城にまで、国王にまで届く様に。
この大陸では、不思議な出来事がある。
できてばかりで安定していなかった王朝が、突然倒れてしまったのだ。
そして、その不可解な事件は、闇に葬られている。
国王を消し去ったその呪いの雨を、人々は忘れていっていた。
□ □ □
これが、今から500年くらい前の出来事だった。
そこからずっと、私はあの二人を忘れようとしてきた。
私は、自分の部下たちに語りかける。
今の国王は、化け物なのだ、と。
あの国王は、私と同じやそれ以上の使い手だ。
だからこそ、バランスが悪い。
国王が、いることで、バランスが乱れる。
というのが本人の主張だ。
そして最後に、
「これは私にとっての最後の戦いでもある。この戦いで、世界のバランスを乱すものを平定する。」
という言葉で会議は、いや、レイン………………………………
いや、世界の裏側の魔の者たちは、話し合いを、知識ノ魔の者が一人、旅芸人のアーさんの独白を、終わらせたのであった。
アーさんのつらそうな声が響く中、アーさんを残して会議は終わりを告げたのであった。
□ □ □
そんなアーさんに、駆け寄る人影があった。
こんさんである。
こんさんは、お人好しすぎて来てしまったのである。
アーさんというのは、知識ノ魔の者の中でも、特異な産まれだ。
普通知識ノ魔の者は、世界の裏側で生まれる。
しかし、アーさんは人間界で生まれた。
知識ノ魔の者達は、人間界に出られるほど強くなってから人間界へでていっていたが、アーさんは違った。
そして、アーさんはひどい境遇だった。
心が荒んでしまうほどだったが、そんなアーさんは、魔のものを信用していなかった。
信用していなかったからこそ、アーさんは世界の裏側に行かなかった。
それを、魔の者たちの間で酷評され、世界の裏側に強制送還され、今刑罰を受けていた。
魔の者たちも、一枚岩ではないのだ。




