41話 かけひき(前半)
知識ノ魔の者というのは、人間たちには使用することのできないような、かなり特殊な魔法を持っていることがある。
そして、その魔法は知識ノ魔の者によって違う。
こんさんの場合は
『記憶の改竄』
だ。
こんさんが念じることで、記憶を別のものに変換することができる。
この魔法は、犯罪などに悪用される可能性も十分に考えられる魔法だが、基本的にそれはできない。
なぜなら、この魔法は、知識ノ魔の者と相棒が対になっているものだからだ。
仮に相棒の方がやらかした罪であっても、それが悪いことだと知識ノ魔の者のほうがおもっていれば、その魔法は発動しない。
もちろん逆もしかりだ。
つまり今のところは魔法は発動しないと見て大丈夫だろう。
しかしこの魔法は、使用したい人に対して常に、
「妨害」
という魔法をかけなければならないのだ。
つまり、ジリ貧になれば終わってしまう。
しかも、こんさんの相棒が私でなかった場合、いとも簡単に魔法をかけられてしまうのだ。
つまり、少しでも気を抜くと終わってしまう。
そして、妨害の魔法はかなり強い魔法で、魔力消費も大きい。
つまり、そうかんたんに続けてできないのだ。
もともとこの魔法は、知識ノ魔の者が相棒を止めるための魔法のため、その逆は基本的に想定されていない。
つまり、この状況は魔法として想定外なのだ。
そのため、妨害の魔法を使いすぎることで何らかの影響が出てくる可能性があるのだ。
そのため、結論としては
「交渉」
に落ち着く。
しかし、基本的にお互いがお互いに持っている情報を引き出し合う、いわば腹の探りあいだ。
こんさんとしてはどのような情報を持っているのかによって私たちをどう動かすのかを決めるだろうし、こんさんからどのような情報を引き出せるのかによって私の動きやすさも変わる。
□ □ □
こんさんが馬車の前にいた敵を一掃してくれたため、馬車の中はひとまず落ち着いてきた。
しかし、依然として魔力はばらまかれたまんまだ。
不用意なことをすることはできない。
とりあいず話を始めることにしようと思ったのだが、ふと違和感を持った。
それは、敵の気配だ。
気配がまだある。
つまり、敵はまだいるのだ。
しかし、そのことにこんさんは気がついていない、否、気がついていないふりをしている。
つまり、私を馬車から降ろしたところで狙わせ、悲劇を演出させる気だろう。
しかし、そのことを指摘したところで、こんさんは気がつかなかったことになり、私を外に出させようとするだろう。
そうなれば商会の皆さんが危ない。
つまり、何も言えない。
それをわかっているのだろう。
こんさんは余裕を持った笑みを浮かべていた。
しかし、こんさんは情報を共有してくれなさそうだ。
ところで、ここまで見てきた君たちは、ふと疑問に思わないだろうか。
これまでやってきていた意思の共有だ。
それを使うことができれば、駆け引きも何もないのではないのかと。
それは正解だが、今はできない。
なぜなら、魂をつなげているが、意思の共有をしようとしている意思がお互いにないからだ。
意思の共有というのは、一方が許可をしてもう一方が無許可の場合、許可している方の情報を許可していない人がみることができるが、許可した方には何もない。
つまり、今はお互いがお互いを信用していない状況なのだ。
ということで、駆け引きを続けよう。




