28話 魔法
この伝承は、かなり曖昧なことが特徴だ。
どのように変化したのか、その少女がだれなのかが全く分かっていない。
しかも、その伝承は、他の人に漏れたことがない。
だからこそ、怪しい。
しかも、何の魔法を使用したのかが全くわからない。
それに加えて、その魔法を使える人がどこにいるのかも分からない。
だからこそ、だれもやらないし、できない。
万事休すである。
正直、無謀なのである。
しかし、私はやりたいと思った。
他ならぬ本のためである。
本が読める、元の世界に行きたいという一心で。
しかし、まず何をやればいいのだろうか。
答えは簡単。
その呪術ができないかどうか、試してみればいい。
どうやって試すのかと言うと、ラースさん曰く、こんさんとはもう話し合って決定させたらしい。
その決定事項というのは、
こんさんと2人で、魔法を組み立てることである。
魔法というのは、めったにできないけれども、新しく作ることができたりする。
ある魔法を組み合わせて作ろうとすると、魔法が相殺されて、何もできなくなってしまうからだ。
つまり、魔法の相性を考えながら魔法をイメージしないといけない。
しかもそれは、既存の魔法から新しい魔法を作る場合である。
この場合、作ることのできる魔法は今ある魔法の応用編しかできない。
しかし、今回は、どちらかと言うと呪術に近しい魔法を、ゼロから作らなければいけない。
しかも、ゼロから作るからこそ、危ないものの可能性もある。
つまり、とても危険なのである。
私は確かに、国王をやめたいと思っているが、国王をなくして国を荒らしたいわけではない。
この大陸はかなりいろいろと大変なので、国王がいないと、意外とあっさりとなくなってしまう。
私の前の国王であったルイス様であっても、私を国王にするために、いろいろなことをやっていたわけである。
つまり、根回しをしなければいけない。
しかし、即位したての人間が、もう退位するのは、信用に関わる。
何よりこの国では、国王は国民に尽くすぞんざいでありその責務は、国王がなくなるまでは、国王が背負う必要があると考えられているため、死ぬまで国王は国王じゃなくならない。
つまり、どんな手を取ろうが、国内に混乱を招いてしまう。
つまり、かなり難しい。
しかし、それが分からないラースさんとこんさんではない。
ちゃんと対策を用意していた。
その対策というのは、
「ラーノルト侯爵家以外で、国王に対して不満を持っている人をあぶり出して一斉検挙、そして、その首魁として私が君臨する」
というものだ。
デメリットはある。
1つ目は、国内の混乱。
これは、最小限に抑えられるようにしないといけない。
2つ目は、私が退位したあとの後継者だ。
本来ならば私の子供がいいのであろうが、私には子供がいない。
つまり、誰か他に後継者がいないか探さなければならない。
□ □ □
これはかなりの難題である。
どーしよっかなーっと、のんきに考えていられない問題だ。
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