27話 伝承
アルだと思われる人が魔法を解くと、ミライさんの相棒の、ラースさんだった!
しかし、ラースさんは最初からアルだったのだろうか。
その疑問に、こんさんが答えてくれた。
「ラースさんは、最初からアルだったわけではない。でも、お前が参加した会議くらいでは、もうすでにアルとして、人間として政治に参加していた。」
ラースさん曰く、ミライさんに、
「ちょっと50年くらい政治に関わっておけ」
と突然言われ、とても困っていたらしい。
ラースさん曰く、ラースさんはとても人見知りで、それを隠そうとして、へりくだった態度をとるようになったらしい。
しかし今回は、政治にかかわらないといけない。
「政治や伝承などに興味があるというだけで、政治に参加したいわけではない」
という反論はできなかった。
こんさんの二の舞いになりたくないからだ。
ミライさんは、怒ると、かなりねちっこく攻めてくるらしい。
そのため、ミライさんに口答えしようものなら、1年はいびり続けられることを覚悟しないといけない。
もちろん、ラースさんにはそんな覚悟はない。
つまり、ミライさんの言いつけどうりにしなければならなかった。
途方に暮れていると、だれかとぶつかってしまった。
顔を上げると、ものすごい美形がいた。
正確には、アルがいた。
アルは、かなり疲れていたようだったので、屋敷まで送り届けると、かなり感謝された。
そこから交流が始まった。
ある時、アルに対しても、ある程度敬語が取れるようになった頃、勇気を出して、ミライさんからの指令について話をした。
当時、アルはこんさんのことを知っていたため、理解ははやかった。
また、すぐに協力するという姿勢を見せてくれた。
私は、アルの王城内での仕事を任せられた。
大変な仕事ではあったものの、とても楽しかった。
また何回か、国王陛下にもあったことがある。
国王陛下は、とてもよくしてくれていた。
だが、国王陛下が亡くなったあと、アルは壊れてしまった。
前のように仕事をしなくなり、無気力でいることが増えた。
そのうち、本当に何もしなくなり、執務についても、すべて任されるようになる。
ミライさんの言いつけが達成できて嬉しい気持ちと、アルが壊れてしまったことが悲しい気持ちの板挟みになりながら仕事をしてきた。
ちなみに、こんさんに気づかれたのは会議の時だ。
こんさんには、ルー様には言わないようにしてほしいと言って口止めをした。
そして、こんさんに声をかけられた。
ルーに会って話をしてほしいということで、今回の場を作った。
□ □ □
本題である。
私が元の世界に帰る方法は、結論から言うとある。
それはどういう方法なのかと言うと、呪術の一種らしい。
「魂を、この世界ではない世界に送り出す呪術」
今この世界にあるのかどうかすらわからない、伝説級の呪術。
この呪術の最大の特徴は、呪術の代償として寿命を縮めないで済むことだ。
つまり、何回でもできる。
しかし、歴代の国王たちがどれだけ探しても見つからなかった、文字どうり幻である。
その呪術だが、実は使ったという記録が残っている。
記録として、紙で残っているのではなく、口伝えの伝承だ。
むかしむかし、この大陸に人々が移住しはじめたときのこと。
ひとりの少女があらわれた。
少女は、どこにでもいるような普通の人間だったが、この大陸を知らないような目で、キョロキョロと眺めていた。
心配に思った旅人が、近くの街で少女の親を探すと、すぐに見つかった。
しかし、その少女は首をかしげるばかり。
しばらくした時、その少女は、呪術が発現した。
発現した呪術は、
「魂を、この世界ではない世界へと送り出す呪術」だ。
そして、少女はある日突然、地面に魔法陣を書き始める。
その模様を書ききったあと、少女の魂は抜けていって空へと舞い上がり、代わりに別の魂がおりてきた。
その呪術が成功したあと、少女は前と変わらない様子になった。
という話である。
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