26話 元の世界
はじめは、責任感を持って臨んでいた国王としての役割は、次第に窮屈で、苦痛を感じてしまうものになった。
何より、本が読めない。
正直、これが一番つらい。
本を読みたいと思ったときって、一人で静かに読みたい。
それなのに、護衛たちがたくさんいて、まったく集中して本が読めない。
しかも、国王としての仕事はかなり多い。
アルが、基本的に書類に目をとうしているため、仕事は、かなり厳選されているし、アルがわかりやすく説明を入れてくれているため、かなり楽なのだが、かなり量が多いため、徹夜にはならなくとも、暇ができないくらいには忙しい。
さらに、食事が冷めている。
毒見役とかいらないから、はやく食べさせてほしいが、もしものためにと聞いてくれない。
それに加えて、アルが作った結界が、王城内を埋め尽くしている。
アルがかけている結界は、登録していない人が入った時に、アルに伝わってしまうというものだ。
そして私は、仕事をサボらせないようにすることと、勝手な行動をしないことの、両方の注意のために、登録がされていない。
つまり、勝手に逃げ出すと、すぐにバレる。
また、この結界は、誰かが結界を壊したり、結界の内容を変えたりしても、アルに分かってしまうので、破壊もできない。
つまり、打つ手なし、万事休すということだ。
そこで、こんさんにすべてを話すことで、協力してもらうというアイディアを思いつく。
アルは、こんさんのことは信用している。
だからこそ、こんさんに対しては敬語だし、こんさんが要求した事は、大抵受け入れる。
その一つが、
「こんさんが一緒なら、私が結界を壊しても、何も反応しない」
という点だ。
こんさんは、私に対して機転を利かせてくれた。
そのため、話せば分かると思ったからだ。
そして、その企みは成功した。
なんやかんや言って、こんさんは私に甘いのである。
こんさんは私に、
「それっぽい者を見つけた!」
という報告を聞いたのは、そのお願いの一週間後だった。
こんさんは、なんやかんや言って私よりは自由なものの、まあまあ護衛がいるらしい。
しかも、かなり凄腕の。
それをくぐり抜けるのは、かなり至難の業だっただろう。
こんさんは、かなりできるやつである。
そして、仕事がいつもよりもはやく終わった日の夜、私は初めて、お忍びで街を歩くことになった。
□ □ □
なにこれ?
が、最初の声であった。
事前に連絡していたらしく、中からは親しげな会話が聞こえてきている。
そして、中には入って驚いた。
中には、アルが、いたからである。
驚きであった。
てっきり、魔女的な立ち位置の、胡散臭い人間を想像していたからである。
しかし、だとするとこんなにもはやく、詳しそうな人が見つかったのも納得がいく。
しかし、アルに、そこまでの知識があるとは思えない。
そりゃ、よく執務でお世話になるけれども、それはあくまでも政治の話だ。
政治を動かすことが得意なだけだと思う。
しかし、その顔が霧に包まれ、その後にあらわれた顔で、納得がいった。
そこにいたのは、ラースさん、政治を研究しているミライさんの相棒がいたからである。




