25話 閑話 新しい国王(ルイス視点)
私はルイス。
国民の多くは、「国王陛下」と呼んでいる。
しかし、私には、だれにも言えない秘密がある。
それは、本来、だれもが使うことのできる魔法が使えないことだ。
国民に対して心配をかけないことと、私の国王としてのプライドから、だれにも何も言わずに生きてきた。
しかし、そのことを逆手に取り、いつの間にか調べたのか、私が魔法を使えないことに気が付き、脅してきた。
私は、従うしか無かった。
国王として、国民が不安にならないようにしなければならない。
国民に対する配慮から、私は脅してきた家に従うふりをした。
最後のあがきである。
まず最初に、その家から、婚姻という形で、側近のもとに、娘を送り込ませ、人質にした。
そして、脅してきた家についての悪評を流させ、噂という面で追い詰めた。
しかし、向こうも、ただ黙って見ているだけではなかった。
私に対して、「死ね」
と言ってきたのだ。
正確に言えば、玉砕覚悟で突撃しろと言われた。
しかし、そんなものに従うのは嫌だったため、一番死亡率と成功率が低い日に仕掛けることにした。
そして、その日に備えて、国王としてふさわしい者がいないか探していた。
国王としての素質は、適度に真面目で適度にふざけていて、適度に責任感があって、敵度に人望のある人物だ。
私には、子供がいないので、子供を後継者にすることはできない。
そのため、国民をいろいろとみていった。
どの人たちも、王として完全な人はいなかった。
かなり、私の後継者探しは難航していた。
そんなある日、私は、頼りになる側近である、アルをからかいに行った。
アルには、監視だけしておけばいいと言っておいた婚約者に対して、ずいぶんと丸くなったという噂があったため、生き抜きに、からかってやろうと思ったからだ。
私の場合、王としての威厳を保つために、貴族の屋敷には、ちゃんと護衛をつけて行く。
だが、アルの家は別だ。
アルの家には、特に警戒すべき者などはない。
そのため、私は、アルに止められながら、一人で屋敷に行っている。
しかも、基本的に、門を使わないで、こっそりと忍び込む。
今日も、いつものように忍び込んでいると、コソコソと動いている人がいた。
周りを忙しなく見渡している、不審者だ。
一応、声をかけてみると、ずいぶんとびっくりされた。
そして、いろいろと、そのむすめから話を聞いていた。
その娘は、ピッタリの逸材だった。
適当なところは適当だし、真面目なところは真面目で、メリハリがついている。
直感を信じた。
私はもう、時間が残っていなかったから。
この国をよりよくしてくれると信じて、私は、その娘、ルーにすべてを託すことに決めた。
私は、貴族たちに対して、時期を公表せず、いずれ引退しようと考えていることを伝えた。
貴族たちは、私に忠誠を誓ってくれているからこそ、だれも止めなかった。
しかし、なんとなく察していた者もいたのだろう。
私が、かなりはやいうちに、国王ではなくなることを。
しかし、私が言うことを、みんなが信じて託してくれた。
私の指示に従って、みんなが準備を進めた。
あとは、私の覚悟だけだったが、これも片付いた。
私は、ルーを、新国王、レイナルド・ルーが、いい国王になれることを期待し、眠りについた。
面白かったら、評価ポチってね!




