22話 実家に乗り込んでみた!
さてさて、国王陛下が息絶えてしまった後、いろいろと大変であった。
普通に、王位を継承するわけにはいかなかった。
なぜかって?
国王陛下が死んでしまったからだよ。
最初、国王陛下の暗殺をしたのではないかと疑われた。
当然のことである。
むしろ、疑わないほうが間抜けなのである。
しかし、国王陛下が懐に文を忍ばせていた。
手紙には一言、
「ルーカラを、国王、レイナルド・ルーとして認める」と。
これを見た面々が納得し、即位することになった。
もともと、貴族たちは準備をしていたらしい。
そのため、かなりスムーズに儀式が進んでいくと思われていた。
しかし、邪魔が入ったのである。
クソジジイこと、ラーノルト侯爵家当主である。
正直、名前を覚える必要もないのでそこは割愛する。
クソジジイで十分である。
そのクソジジイは、国王に口封じに渡された金と、人脈を使って、ありとあらゆる邪魔をしていた。
しかも、その邪魔はかなり厄介で、トカゲの尻尾切りのように、半分没落したような貴族に実行をさせているため、なかなか証拠がつかめない。
さらに、私の誹謗中傷なども行っている。
つまり、即位が難しい。
クソジジイは、思ったよりも頭が柔らかくて、悪知恵しか働かないので、尻尾を出さない。
このままだと、即位が一生できなくなってしまう。
即位は、はやくやらないと、国民も貴族も困ってしまう。
そこに付け入ろうとしているのだろう。
正直、かなり厄介極まりない。
そのくせ、自分は堂々と、
「新国王は、私の大切な娘だ。逆らうことは許さない。」
などと言っている。
クソうざい。
そのくせ、表立っては、むしろ支持を表明している側のため、不用意に罰することができない。
つまり、打つ手がない、と思われた。
□ □ □
しかし、ふと思う。
とりあいず、屋敷に行ってみようかな、と。
当主はおそらく尻尾を出さないが、使用人や、クソジジイの娘などは違うかもしれない。
もしも、無礼な発言があれば、処罰することができるし、多少不自然であっても、発言力をなくすことができる。
ということで、私は今、クソジジイの住む屋敷に向かっている。
油断させるため、あえてこんさんと2人で来た。
そのこんさんでさえ、屋敷の前でお別れだ。
あとは思考を共有させる。
表向きは、家族を信頼していることにして、裏では油断させるためだ。
おそらく、もともと私のことを見下していた人がたくさん残っているはずだ。
そして、国王にしては質素な、なんなら、平民と同じような服を着てきた。
私はこれで、
「国王になるけど他の貴族から裏で虐げられている娘」
を演じる。
ちなみに、私の視覚などの感覚も、こんさんと共有することができるため、私のみているものは、こんさんもみていることになる。
貴族たちはもともと、私に協力的なので、喜んでお付き合いいただけた。
ここまでして用意し、実家に乗り込もうとドアを開けた瞬間、どこからともなく、土が飛んできた。
いきなりである。
おそらく、クソジジイの娘の仕業だ。
正直、こんなに早くボロが出るとは思わなかった。
まぁ、そのボロを、私が野放しにするわけがない。
急いで、こんさんの魔法で場所を特定させる。
すると、今屋敷に入っているらしい。
つまり、油断している。
ついでに、屋敷の中で話している声を聞いてみる。
ちなみに、全て記録している。
聞いてみると、基本的に、ルイス様を小馬鹿にした内容だった。
ついでに私も馬鹿にしていた。
これは、確実に黒である。
屋敷の建物に入ると、明らかに罵倒がなくなり、国王の死を悲しむ声や、私への称賛があった。
いらないものである。
あらかじめ、こんさん達にはここへ来るように伝えた。
そして、不機嫌そうにしながら、扉を開く。
ここからが、断罪の時間だ。