15話 霊との対峙
戦闘が今にも始まりそうな雰囲気の中で、こんさんに、「霊が来ているんだから早く準備をしろ」と言われた。
全く理解ができていない私を他所に、再びドーンという音が、上から聞こえてきたので、上を向くと、日本で言う妖怪のよえな見た目の化け物がいっぱいいた。
それこそ、悪魔に見えなくもないような者たちが。
とりあいずピンチだということは分かったため、身構えていると、悪魔みたいなやつが、魔法をぶっ放してきた。
大体のものを破壊できそうな火炎砲である。
しかも、私に向けてである。
かなりひどいと思う。
防御とかろくにできないはずなのに、狙い撃ちはひどいと思っていると、こんさんが、「防御しろって言え」と言ってきた。
別に命令しなくてもいいのではないのかと思ったが、とりあいず、「防御しろ」と言ってみる。
すると、6角形の防御術式が全体に展開され、炎の攻撃を受け流した。
びっくりしている私を他所に、他の人たちと一緒に呪文を唱えているこんさん。
またまたよく分からない言葉で何かを言ったあとすぐに、「我らが、この術をもってして霊を消し去らせてください、この氷をもってして。」というと、でかい氷の槍が多数、悪魔みたいなやつに突き刺さって弾ける。
そして弾けた途端、悪魔みたいなやつは消え去った。
ポカンとしている私を気にして、こんさんが説明を始める。
さっき出てきていた化け物は、霊と言って、いわゆる幽霊である。
死んだ人の心の本質が、霊となってでてくる。
そうした心が集まってできるのが霊である。
霊には、あまり知性はない。
ただ、何かをやりたい、何かをしなければという未練の塊なのである。
そして、それらは基本的にろくなものがない。
人間の本質は大抵の場合醜いものであり、破壊衝動などや、残虐的な衝動に駆られている者が多い。
だからこそ、霊と言うものが出来やすい。
しかし、人間というのは多面性を持っている生き物でもある。
つまり、残虐性を持つ人が、優しさを持っていることもあるということだ。
そして、そういった人たちは、霊に残虐性などを預けてしまう。
そして魂本体は、表の世界で肉体となって誕生する。
しかし、世の中には、残虐性などが魂の大半をしめている、俗に言うクズは、どうあがいても、霊に預けられるものではない。
そういった場合、本人が霊になる。
つまり、霊というのは、1人の、醜い感情が他人よりも多い1人の人と、たくさんの人の醜い感情によってできているのだ。
この霊というものは、確実な悪かと言われると、そうではなく、人間の本能に従ってできたもののため、なんとも言えない。
それに、霊が人の醜い感情の預け先となってくれるため、魂のほとんどが転生することができるようになるのである。
そして、さっきの霊たちは、知識ノ魔の者たちを襲いたいと思っている人たちを核として作られた霊であるため、毎年ではないものの、時々(20年に1回)ちょっかいをかけてくるらしい。
そのたびに、霊としての存在を消しているらしい。
しかし、今回みんなが緊張していたのは、霊がやってきた時期である。
実は、霊は去年来ていたらしい。
もちろん追い払ったのだが、1年で力をためられるはずがないらしい。
つまり、誰かが手引きをしている可能性があるのである。
めんどくさ。