14話 それぞれの発見
小綺麗な家具に囲まれて、椅子に座っていた。
絶賛会議が始まろうとしている。
会議は基本的に、こんさんが主導している。
具体的には、
①自分たちがつかんだ情報を、それぞれが発表。
(異常性がわからない人が多く、当てにならない)
②自分たちが発見した技術の報告。
(大抵の場合、研究者のライカさんと、旅芸人のアーさんが発表する)
③研究に対する対応
(主にこんさんが主導する)
という順番になっている。
初めは、情報である。
こんさんの読みどうり、こんさんを除く全員が、特に異常なしと答えている。
絶対にそんなはずはない。
なぜなら、こんさんの調べによれば、少なくとも、貴族が数人隠居し、新しく爵位をついだものが何人かいるからである。
それに加えて、私とこんさんが繋がりを持ったという、重要な出来事がある。
それなのに何も言わない。
要は、だれも興味がない。
仕方ないのでこんさんが、資料を一人一人に配っていく。
興味無さそうに見ている人が12名程度。
いや、私とこんさん以外全員やな。
まともに話も聞いていない様子だった。まあ、みんなの間でも、こんさんが何とかしてくれるという共通認識があるのだろう。
完全に丸投げだった。
ところが、新技術発表会になるとようすが一変。
全員が興味を示していた。
まず最初の発表は、ライカさん。
ライカさんは、魔法の仕組みを使って、部屋の温度が一定になる装置を作ったらしい。
半分エアコンである。
しかも、かなり小型化していて、手のひらサイズの石になっていた。
これは、持っている人のすぐそばに結界を張って、その結界内の温度を操っている。
また、サイズを大型にして、部屋全体を一定の温度にすることも可能になるため、実験の際に部屋の温度を調節するのにも使用できるらしい。
続いてアーさん。
アーさんは、新しくアクロバットを生み出したらしい。
バク宙とかをめちゃくちゃ綺麗にやっていた。
あとは、マジック。
人が消えたり、火を吹いたり、いろいろやっていた。
二人の発表以外では、特に他に発表をしようとしている人はいなかった。
続いては、その2人が発表した新技術について。
選択肢としては、
①、公表しない
②、国王陛下の名前で公表する。
③、自分の名前で公表する。
④、しれっと使う。
というのがある。
③と④は、正直論外。
問題になるのは、公表するか、公表しないかである。
これについても、半ば決まっている。
なぜなら、2人とも、新技術を見てほしくて仕方がないからだ。
ということで、大抵の場合は国王陛下の名前で研究について発表があり、研究についての商業化なども、国王陛下にお任せとなっている。
今回の場合だと、ライカさんの発明は国王陛下の名前で発表された後、国王陛下の息がかかった商会にて、取引されることになる。
アーさんのマジックは、国王陛下の前でお披露目をしたあと、国王陛下の名前で、技術の紹介がある。
アーさんは、その技について誰かに教える。
そして、その人ができるようになったら、その人を隠れ蓑にして旅を続ける、といったことをしている。
今回の場合は、かなりたくさんのマジックを新しく生み出したため、かなり習得させるのに時間がかかると思われている。
目立ちたくない、目立たないことが災いとなって発生する手間である。
結局、いつもどうりに、なったのである。
何も変化なし。
むしろ、変化がなさすぎて拍子抜けしたレベルだ。
このあと、みんなでご飯を食べながら、和気あいあいと終わるのが普段なのだが、今回は少し違った。
宴会の準備をこんさんがしていると、ドーンという音とともに何かが入ってきた。
その瞬間、今まで緩かった空気が、一瞬で張り詰め、全員が戦闘の準備をしだした。
かくして、理解ができていない私を通り越して、戦闘が始めようとされていたのだ。