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小説ワープ  作者: 青。
1章 本が読みたい
12/50

12話 謁見式がやってくる

一悶着も二悶着もありながら、いよいよ謁見式が始まるらしい。

しかし、ここで問題が起きた。

今になってめちゃくちゃ緊張してきたのである。

待機していたときは、「なんとかなる、大丈夫」と言い聞かせ続けたのだが、謁見の間に近づくにつれ、とてつもなく緊張していた。

それを和らげたのが、こんさんの言葉だった。

こんさんの喋り声が脳内に降ってくるやつ。

こんさんに、「大丈夫だよ。国王陛下を暗殺しようだなんてたくらんでいない限り、死ぬことはないから。」とのことだ。

すごく勇気の出る言葉だね。普通に緊張がほぐれた。

気合を自分の中で入れているうちに、とうとう謁見の間に到着した。


この世界では、位の高い者から順番に入っていく。

そのため、ただの婚約者である私は一番最後ということになる。

だけど、この文化ひどいと思う。

だって一番くらいの低い最後の人は、全員が揃った状態で、一番注目される。

注目されるのはあまり得意じゃない。

ちなみに、今回の謁見には、国王陛下と、大臣が5人らしい。


一切のルールを知らないまま、謁見が始まった。

とりあいず、「はいれ!」と言われたので部屋に入る。

部屋に入ろうと一歩踏み出した瞬間、大臣方のヒソヒソ声が耳に入ってくる。

気にしないふりをしようとしてもなかなかできず、自分を奮い立てていたものがなくなっていく感覚を感じながら、ゆっくりと前に進もうとすると、突然声が届いてきた。

こんさんである。

救世主こんさんは、「アンタがやると、陰口しか言われなくなる。俺が代わってやる」というなり、私から体の制御を奪い、本来の礼儀である、謁見の際に頭をしたに下げながら、ゆっくりと歩き、国王陛下の前で深々と一礼。


大臣たちは、私の(こんさんの)完ぺきな所作に、言葉を失っている。

国王陛下の、「顔を上げろ」という許可が出たところで、意識が切り替わり、私が話すことになる。

私は、図書室にいたこんさんと会ったことや、話をしたことを国王陛下に告げると、話を締めくくった。

国王陛下や大臣にも、特に呼び止められなかったので、納得のいくものだったのであろうと解釈をし、さっさと退出する。


緊張したが、思った以上にあっけなかった。

こんさんのおかげである。

そして私は、もともと謁見の前に待っていた部屋に行き、再度じっくりと待つことになった。

この部屋にはたくさんの本があるので、暇にはならなかった。



その頃、謁見の間に残された大臣と国王陛下は、話し合いになっていた。

話し合いの内容は、こんさんと、こんさんとつながりを持ったルーについてである。

ある大臣は隔離、ある大臣は現状維持、ある大臣は情報を集めてから考える、などのいろいろな意見が出された。

しかし、国王陛下の鶴の一声で、とりあいず放置しておくことになった。

その後国王陛下は謁見の間を退出なさっていった。

国王陛下の向かう先は当然、ルーがいる部屋である。


ルーがいる部屋につくと、勢い良くドアを開けて入ってきた。

私は本を読んでいた手を止め、前を見ると、国王陛下が立っていた。

国王陛下は、そのままソファーに座ると、アルとの関係について根掘り葉掘り聞いてくる。

アルとどういうことをしているのかとかどういう関係なのかとか、しつこいくらい尋ねてくるので、さっきの謁見が何もなかったかのように気安く話しかけてくる。

さっきと違う、二重人格でもあるんじゃないかと疑ってしまうレベルだった。


ちなみに質問攻めは、ざっと2時間は続いたのである。

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