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異世界ざこぴぃ冒険たん  作者: ざこぴぃ
第七章・南の大陸の下僕
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第92話・因縁の決着


―――ウェスタン王国城内―――


「国王様をお守りしろっ!!」

「だれか援軍を!ぎゃぁぁ!」

「ゼシカ!立てるっ!?コリータに逃げるよ!」

「リン、大丈夫だ。それよりチグサ様達を先に……」

 僕達がウェスタンに着く頃には辺りは既に薄暗く、夜が始まろうとしていた。

 城内には得体の知れぬ禍々しい魔力を感じる。僕達は城内の庭に降り立つ。

「アリス、プリン。城内の様子がおかしい」

「うむ……この魔力は知っておる……」

「……嫌な予感がしますわ」

 急ぎ魔力の強い方向へと走る。廊下を突き当り、角を曲がれば王広間とゼシカ達の部屋がある。

「この先を曲がったら、王広……間……」

 曲がったその先には……血の池が出来ていた。そこにいた異様な形をした化物が振り返る。廊下の天井に届く程の高さだ。

「ムラクモハ、ドコダ……」

「おい、スサオ。お前はどこへ行くつもりなのじゃ」

「……アァ……ネェサンヵ」

「天之叢雲に洗脳されてしまったのか。愚かな。それでも我が弟か」

「クダラヌ。オレハダレニモ、シハイナドサレヌ……ユエニ、ワレガ――」

 僕は化物がアリスと会話をしている隙を狙い、不意打ちを狙う!

漆黒の太刀(シッコクノタチ)月陰(ツキカゲ)!!」

 ザシュュュ!!

 ふいをつき、右腕を切り飛ばした。が、化物は動じない。僕は体を反転させ、続けざまに攻撃を繰り出す!

「……ダレダ?オマエ……」

月陰奥義(ツキカゲオウギ)月花(ゲッカ)!!」

 ザシュゥゥゥゥゥゥ!!!

 化物の体が切り刻まれ、床には花の様に血しぶきが広がり……あっけなく倒れる化物。

「あっけないな……アリス、これがスサ――」

「いや、それはただの操り人形じゃ。見た所、魂が無い。本体が近くにいるぞ。ハルト、気をつけろ」

「分かった」

 僕達はそのまま王広間に入る。

 ギィィィィ……!

 玉座に座る人影。そして王広間に倒れている兵士達。

 雲が切れ月の光が王広間を包むと、王広間の中央に倒れる人影が見える。

「あれは……!ゼシカっ!リンっ!!」

「ガフッ……はぁはぁ……あなた、チグサとサルトを連れて逃げて……」

「ハルト……2人をお願い……」

 ゼシカとリンが覆いかぶさるように、チグサとサルトを守っていた。その近くでウェスタン国王は無惨にも……息を引き取っていた。

「ウオォォォォォッ!スサノオッ!貴様っ!」

 僕は王座に座る人影に向かい剣を向ける!

月陰奥義(ツキカゲオウギ)月花(ゲッカ)!!」

 ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザクッッ!!

 王座ごとスサノオを切り裂く!……が、手応えがまるでない。これも先程の化物と同じく人形のたぐいか。

「どこだ……?」

 大広間の護衛兵達は斬られている……だとすれば近くいるはずだ。僕は意識を集中し、スサノオの気配を探った。

「――上かっ!?」

 カキィィィィィィン!!!

 甲高い音が響き、間一髪スサノオの剣を受け止める。

「くっ!」

「ほう。見事だ、褒めてやる。だが――」

 ブシュュッ!!

「え……」

 にぶい音がした。そして、腹部が熱くなり、血が出ていくのがわかる……。

「がはっ!!」

 痛い……!熱い……!後ろから刺されたのか……?

「ハルトッ!!」

完全回復(エクスヒーリング)……!」

 傷がなかなか塞がらない?くっそ神族の攻撃のせいか……!

「はぁはぁはぁ……」

「ほう……まだ立てるのか。息の根を止めてやるか。ん?トウヤ、戻ったか」

「はい……師匠!?……ちっ」

 今、この男舌打ちをした……?

 トウヤと呼ばれた男が手に持っていたのは天之叢雲だった。

「ま、まさか……」

 ミヤビとベリアルが殺られたのか?そんな馬鹿な……。

 スサノオはトウヤから受け取った天之叢雲を引き抜く。

「クックック。久々だなぁ、天之叢雲。ネェサンよぉ、残念だったな。これで終わりだ。用事は済んだ。トウヤ、殺れ」

「……」

「スサオッ!やめさせるのじゃ!」

 トウヤと呼ばれた男は、倒れているゼシカ達に向かって歩いて行く。

「や、やめろぉぉぉぉぉぉ!!」

 トウヤの剣がゼシカとリンを刺そうと振りかざされる――!

「くっそぉ!動けっ!!動け!動けっ!」

 体に力が入らない。

「トウヤ、殺れ」

「……」

「どうした。殺れ」

「師匠……出来ません」

「何?」

「俺はこれ以上、人を殺めたくありません……」

「トウヤ、貴様何を言っているのかわかっているのか」

「師匠!もうやめましょ――!」

「この役立たずが――」

 ザシュッ!ドサ……!

 抵抗もなく倒れるトウヤ。

「し、師匠……」

「スサオッ!お前何をしておる!そいつは――」

「ネェサン、相変わらずきゃんきゃんウルサイなぁ……俺に指図をするな……」

「なんじゃと!」

 アリスがスサノオに食ってかかる。今のうちに、ゼシカ達を……!

 僕はゼシカ達に駆け寄ると回復魔法をかける。

完全回復(エクスヒーリング)!」

「うぅっ……!げほげほ!」

「良かった、間に合った。ゼシカッ!リン!今のうちにチグサを連れて逃げ――」

「ハル……ト……はぁはぁ……」

 ゼシカとリンの傷が癒えていく。スサノオ本人から受けた傷では無いのだろう。2人は息を吹き返す。

 しかし次の瞬間、目の前からゼシカとリンの姿が消え、僕は天井を見上げている。

「な……何だ……?体から……力が抜け……がはっ!!」

「貴様は大人しく死ねぬのか。邪魔ばかりしやがって」

 シュン――!

 血を振り払う音が天之叢雲から聞こえる。もしかして僕は斬られた……のか?意識が遠のいていく……!

「ハルトォォォォォォ!!」

 アリスの声が聞こえてくる。無くなる意識の中で、僕をかばい、目の前でゼシカとリンも倒れる姿が見えた。

「ハルトッ!しっかりせいっ!」

 アリスの声が遠くで聞こえる……死ぬのか……?またか……何度も死んだんだ……もう……限界か……僕はゆっくりと目をつむった……。


………

……


―――異次元空間神の社―――


「しっかりしろっ!ハルト!」

 あぁ……まだ夢の中なのか……?

「時間がない!プリンよ、やってくれ!」

「はいっ!ねぇさま!ちちんプリンプリン――!」

 意識が朦朧とする……体も動かない……。

「ハルト、お主はようしてくれた。じゃが、今のままではまだ足りぬ!スサオはお主にしか止められぬのじゃ!」

 アリスが何かを言っている……?でも僕はもう限界だ。

「ハルトよ。ねぇさんの言う通りだ。お主にはナツトの分……そしてアキネの分まで生きてもらわねばならん」

 夢か……月子の声もする。

 僕だって出来る事なら、もっと皆を守れるくらい強くなりたい。でも神様相手にそれは元々無理なんだ……。

「ハルト、準備は良いか。お主はもう1つ先の世界へ行くのじゃ――」

 アリス……?何を言って……。

 ザァァァァ……!

 頭がクラクラする……僕はもうすぐ死……!?

 ザァァァァ……!


……

………


―――ウェスタン王国王広間―――


ドクンドクン……ドクン……!

(さぁ……ハルト。お前の番だ……)

ドクン……!

(あぁ、ご主人様、一緒に行きましょう……)

ドクン……ドクン……!

(師匠……俺は……!)

ドクンッッッ!!!


「こ、ここは……?」

 目を開けると、さっき見た天井が見える。

「さっき確か、体を斬られて……」

 ゆっくりと起き上がる。体は無事だ。血も……出ていない。むしろ体が軽い。

「うむ、間に合ったようじゃな」

「ですわね!ねぇさま!」

『目覚めよ。ハルト……いや!四季(シキ)よ!』

「ちっ。ネェサン、余計なことをしやがって!」

 スサノオが天之叢雲を振りかぶるのが見える。

 ――キィィィィィィン!!

「何だっ!」

 スサノオが振りかざさす剣を弾く様に1本の剣が飛んでくる!そしてその剣は僕の手元に転がった。

「誰だっ!?」

「あなたっ!!それを使って!!」

「エル……か?」

 ぼんやりと人影が見える。エル?いや、あれはチハヤ?

「あなた!負けないで!」

ご主人(ナツト)様!負けないで!』

 カチャ……!

 僕は地面に転がった剣を拾い立ち上がる。

『あぁ……チハヤか。懐かしいな……獅子王丸』

「何だ……誰かの意識が入ってくる……」

 拾い上げた剣が左手に馴染む。そしてナツトと思われる意識が体中に流れていく。

「ふぅ……漆黒の太刀(シッコクノタチ)――」

 体が自然と型を作り、構えると同時に――!!

「――月陰奥義(ツキカゲオウギ)月光(ゲッコウ)!!」

 バシュッッッッ!!

 スサノオの体から血が吹き出る!!

「ぐっ……!!天之叢雲雷電(ライデン)!!」

 バチバチバチッ!!

 スサノオの持つ剣が放電し、稲妻が飛んでくる!

 しかし、キィィィィィィン!と甲高い音がし、獅子王丸が稲妻を全て吸い込む。

 バチバチバチ――!シュゥゥゥゥゥゥ……。

「何だとっ!?」

「ナツト……左手は任せた……」

 カチャ……僕は右手で魔法剣を取り出す。獅子王丸を持つ左手がナツトの意識で動く事がわかり、両手で攻撃を仕掛ける!

神々之黄昏(ラグナロク)!!」

 魔法剣がどす黒い色をした剣先を創り出す。昔、アリスに教えてもらった様に力を制御し、細身の扱い安い大きさへと変化させる。

「行くぞ!スサノオ!無双・千草(ムソウチグサ)!!」

「小僧……!くらえっ!天之叢雲神撃(シンゲキ)!!」

 キィィィン!キィィィン!キィィィン!!

 激しく僕とスサノオの剣がぶつかり、火花が散る。連撃を繰り返しながら、さらに魔法を唱えるっ!!

『ご主人様――私と一緒に逝きましょう――』

「これは……アキネの魔力か!」

 膨大な魔力が全身に流れ込む。


「混沌の地より生まれし闇、我の声に答え、導け。我はこの世界を作るもの也……合成召喚魔法!!」

 ゴゴゴゴゴゴ……!!

八岐大蛇(ヤマタノオロチ)!!」

 ガッシャァァァァァァァン!!

 王広間の天窓が割れ、大蛇がスサノオめがけて襲いかかる!!

「くそがっ!!どいつもこいつもっ!!」

 スサノオは八岐大蛇の攻撃をかわしながら、僕と剣を打ち合う!!

 キィィィィィィン!!キィン!キィィィン!!

「グガァァァァァァァ!!!」

 八岐大蛇がスサノオの腕に噛みつくっ!!

「ちっ!!天之叢雲雷帝(ライテイ)!!」

 辺りに稲妻がほとばしるも、全ての攻撃が手に取る様に見える……!

『師匠……あなたの剣筋はこの体が覚えている!』

「こ、これはトウヤの意識か!」

 スサノオの一撃で大蛇の首が吹き飛んだ!次の瞬間っ!

 パッキィィィィィン!!カランカランカラン――!

 僕の放った斬撃が空を切り裂き、そして天之叢雲が……折れた。

「きぃぃさぁまぁぁぁぁ!!」

「……ハルト、ようやった。これで終わりじゃ。素戔嗚尊(スサオ)よ。冥府で反省して参れ」

 アリスが静かに詠唱に入る。僕もそれに合わせて詠唱をする。


『混沌の地より生まれし闇、我の声に答え、導け。我はこの世界を終わらせる者也――!!』

「混沌の地より生まれし闇、我の声に答え、導け。我はこの世界を終わらせる者也――!!」










『――地獄門(ヘルズ)天ノ岩戸(ゲート)!!』













 ズゴゴゴゴゴゴ……!ギィィィィィ……!!ガコンッ!

 闇より現れた地獄の門が口を開け、そして八岐大蛇(ヤマタノオロチ)がスサノオに巻き付き地獄門へと連れて行こうとする……!

「や、やめろぉぉぉぉ!!くそ!離せ!」

 それでも抵抗するスサノオ。――その時だった!!

 ナツト、アキネ、トウヤの魂が僕から離れ、そしてスサノオを地獄門へと押し込む――!

「ナツト、アキネ、トウヤ……お前ら……」

『スサノオ……これで最後だ――』

『ご主人様、さぁ、逝きましょう――』

『師匠……俺も逝きます――』

 尚、あがき続けるスサノオ。

「貴様ら!やめっ!!やめろぉぉ――!!」

『あなたに希望はもうないの、さぁ行きなさい』

 いつの間にかチハヤが現れ、ナツト達の背中をそっと押した……。

「た、たすけ……!!ギャァァァァァァ……!」

 ギィィィィィィ!!バタンッッッッッッ!!!

 叫び声と共に素戔嗚命は地獄門へと落ちて行った……。

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