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異世界ざこぴぃ冒険たん  作者: ざこぴぃ
第六章・魔王とその仲間
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第70話・人形と複製


―――学校2階ホール―――


「うぅ……ここは……?」

「ご主人様、お目覚めですか?」

 俺はチハヤのひざ枕の上で目が覚めた。

「まったく!びっくりしたではないか!いきなり倒れおってからに!」

「あぁ、魔法をつかって気を失ったのか……」

「ご主人様。ご主人様の手が、先程から私の胸を揉むのですが、やめていただくことは可能でしょうか?」

「へっ?」

 俺はびっくりして飛び起きる。

「やっぱり変態ではないか」

「すいません。無意識です……」

「人前では恥ずかしいので、2人っきりの時にお願いします」

 チハヤが積極的!?

 いや、それよりさっきの魔法は……?眉間にシワを寄せ集中すると説明書きが表示される。

竜の嘆き(ドラゴングリーヴ)・神の化身の竜が天から咆哮し、またその威力は絶大で周囲の物をすべて破壊する】

「でも魔法が使えても周囲には敵になりそうな生き物もいないし……」

「いえ、ご主人様……そんな事はありませんよ。魔物の気配がします」

「魔物じゃと!?」

「魔物っ!?」

「嘘です」

 チハヤはお茶目さんか。あれか、揉んだのがいけなかったのか。

「しかしながらせっかく固有スキルをお持ちなのです。武器等を作って、そういう対策も必要かと」

 一理ある。

「よし、せっかく持ってるスキルだ。学校を住みやすくして、この生活を堪能してやるっ!」

「そうかそうか、とりあえずわしはベッドがほしい」

「わかった!月子!鋳造合成(キャストシンセンス)!」

 あっという間にベッドが生成されていく。

「おぉぉ!」

「ご主人様、ここで作られると運べません」

「あ……うん」

 チハヤは真面目な子だった。

 廃校とはいえ、コンクリート造りで基礎はしっかりしている。

 俺は2階の音楽室を改装し、部屋を作る事にした。室内に仕切りを立てれば3部屋は取れる。

 それから男子トイレと女子トイレを改造し、脱衣所とトイレ付きのユニットバスを作っていく。

 また洗濯、物干しも出来る様に廊下の一部を仕切り改良し、後は2階のホールを食堂に改造。

 これで生活感は出てきた。生活水は小川から引くとして、食料と……そうだ、電気が無い。

「しかし月子。この材料はどこから出てくるんだ?」

「本来無いものを合成する場合、目に見える範囲の何かが代わりに無くなる。例えばベッドを作った時はそこの樹木が無くなった様だな」

「そうなのか」

 便利な能力だが、身近な材料を代わりに消費するらしい。元々形がある物で壊れた物は、新品同様に直す事が出来た。俺が直したシャワーヘッドを月子が複製する。この要領で使える物を集めては直し、複製していった。

 俺の知識は月子に聞いた話と書庫にあった本、機器の説明書がほとんどだ。歴史の本も数冊見つけたので、武器を作る際に参考にする事にしよう。

 そして壊れたソーラーパネルが屋上にあり、試行錯誤の上数日かけて修理をした。これで電気も使える。

 1階はまだ手つかずの為、2階の踊り場に玄関を設け生活空間を分ける。それからチハヤが毎日掃除をし、学校中をピカピカにしてくれた。

 ――こうしてあっという間に1週間が過ぎる。


「ふぅ、疲れた。これでボイラーの設置は完了と。月子、ちょっと片付けをしてくる」

「わしはちょっと寝る」

 トイレ裏の物置に体育館にあったボイラーを移設し、お湯を使える様にした後、体育館の片付けを済ませ、また戻って来る。

「そうだ……お湯が出るか最後確認しないと……」

 そんな事を考えながら、脱衣所の戸を開ける。

「ちゃんとシャワーが使えたら良いのだけ――」

「……きゃっ」

「あ、あ、ごごごめん。ちょっと考え事をしててて。失礼します」

 ドキドキドキドキドキドキ……!

 月子が複製て言うから人形的なイメージを勝手に持っていたのだが、今見たチハヤは完全に人間の女性だった。

 急いで隣のシャワールームに入りシャワーを浴びる。ちゃんとボイラーの設定が出来ているかどうか……そんな事より彼女の裸で頭はいっぱいだった。


 ――数日後。

 俺達は前に魔法の練習をした川へと魚釣りをしに来た。

「ふぁぁぁぁ。釣れないなぁ……」

「うむ。あれじゃろ。潮とかが関係あるんじゃろ?」

「私も釣りは苦手です。お掃除や料理の方が……」

「そうじゃのぉ……あっ!ちょっと待っておれ!」

 月子はそう言うと、1人学校に戻って行った。

「……ご主人様。そのぉ……この前はムラムラしましたか?」

 ぶっ!水を飲みかけて吹いた。

「ごほっごほっ!そ、そんな事!」

「大丈夫ですかっ!ご主人様っ!」

 チハヤが目の前に寄ってくる。潮風にのってチハヤから石鹸のいい香りがする。

「う、うん!大丈夫!」

 チハヤの横にあるエサを取ろうとして、腕が胸にふれる。……柔らかい。

「……きゃ」

「すいませんすいませんすいません!」

「ふぅ、ナツトは変態を極めるつもりか」

「げげっ!月子っ!?戻るの早くないか!」

「ほれ、出来たぞ。魚釣りや狩りが得意な複製体がな!」

「はじめまして!ご主人様!星野凛(ほしのりん)ですっ!あんまり痛くしないで下さいね」

「どういたしまして……いや、はじめまして。ナツトです。よろしく」

「胸ばかり見るんですね!ご主人様!」

 リンは眼鏡をかけてちょっとおてんばそうな、胸が大きめの女の子だった。

「ちょっと釣り竿借りますね!皆さんは学校で休んでて下さいっ!」


 ――その日の夕方。

 俺と月子は疲れて、ホールのソファでいつの間にか寝てしまっていた。

 ソーラー発電のおかげで古いエアコンから部品を精製し、新しいエアコンを作り、校内環境は益々快適になっていた。

「皆さん戻りました。釣れましたよっ!」

 リンが魚と貝を取って来てくれた。

「リンさんすごいです!晩ご飯はこれで決まりですね!」

「よくやったリン。お主を釣り隊長に任命する」

「はいっ!ありがとうございます!月子様!」

 ノリがいい子だった。

「汗かいたのでシャワーしてきます!」

「リンさん、ご主人様に気をつけて」

「チハヤ、余計なことは言わんでよろしい」

 新しい共同生活者が増え、生活は益々豊かになってゆくのであった。

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