第63話・無限牢獄の生娘
―――イスタン帝国地下―――
――レイド戦数日前。
ポチャン……ポチャン……。
「ここは何ですか?」
「ここは開かずの間なんだ。何でもその昔、神様が捕らえられていたとか。迷信だけどな。俺が配属になって10数年経つが開いた所を見たことがない。さすがに誰かいたとしても死んでるよ」
「そうなのですか?」
「カエデは気になるのか?俺も最初は気になったけど、もうただの開かずの間だよ」
「怖いものみたさ……かな」
「ハッハッハ!神が出るが蛇が出るか。俺は興味ないね!」
「ふぅん……」
「さっ次、見回りいくぞ!」
―――無限牢獄―――
――レイド戦当日。
ポチャン……ポチャン……。
「……感じる。この魔力はナツト?まさか!?ナツト……なのか?」
―――コリータ王国食堂―――
――現在。
僕達はレイドを無事終え、朝食を食べていた。
「ご主人様。イスタン帝国の件いかが致しましょう」
「傷が癒えたら捜索に向かう。僕とアリスとカエデ、姿を消す魔法が使えるエルも連れて行こう」
「私も行きたいですわ」
「プリンは駄目だ。遊びに行くつもりなんだろ?」
「行きたい行きたい行きたい行きたい行きたい!」
「かわゆいのぉ。連れて行ってやれば良いではないか」
「……はぁ。絶対1人で行動するなよ?」
「わかった!!おやつ用意してくる!」
「おい!プリン!まだ早いから!」
こっちはレイド終わりでクタクタなのに、なぜか元気いっぱいのプリン。
「国王様。朝から移住希望者が増えております」
「移住希望者は西門から順番に検査して。また奴隷商みたいなの入れるとやっかいだから。それ以外の城門は商人、他の種族用で通してあげて」
「はい、わかりました。そういえば宝物庫に金貨以外のドロップアイテムも入れております。ご確認ください」
「わかった、見に行くよ。あとドムドさんにカエデ達の武器をお願いしといてくれるかな。たぶんそう言えばわかると思う」
「かしこまりました」
―――コリータ王国宝物庫―――
「ご主人様、開けますにゃ」
カチャ……ギィィィィィィィ。
クルミが宝物庫を開ける。中には大量の金貨と、武器防具などの装備品が並んでいた。僕は使えそうなアイテムをアイテムボックスに入れていく。
「この薬はなんだろ?甘い香りがする」
「くんくんにゃ?」
「アリス。これ何かわかる?……ん?返事が無い。寝てるのか?クルミ、ちょっと宝石の中見てくれる?」
「はいにゃ」
クルミが僕の胸の宝石を覗き込む。
「んんん?3人共寝てるにゃ」
「はしゃぎ疲れたか。クルミありがと」
「はいにゃ」
と、僕が持っていた薬にクルミの肩が触れ薬がクルミにかかる。
「あっ!大丈夫か!クルミ!拭くものは……!」
「にあぁぁぁ……なにこれにゃ……!?」
「まずい!毒だったらどうする!クルミ!」
「痛いにゃ!いたいいたいっ!いやぁぁぁ!!」
「だ、誰か!!誰か来てくれ!」
シュゥゥゥゥゥゥ……!!
すると、見る見るクルミの体が大きく成長し大人の女性の体型になっていく。胸が大きくなり、腰のくびれができ、美しい顔立ちになった。シッポだけはそのまま付いている。
「……ん?はにゃ?」
「クルミ?だよな?」
「クルミですわ。ご主人様」
「急に大人なしゃべり方!?」
「あらぁ~ご主人様~どうかされまして?」
すり寄ってくるクルミ。腕を僕の首に回し、胸を押し当ててくる。
「近い!クルミ!ちょ!ちょっと待て!色々と面倒なことに……!」
舌なめずりをするクルミ。
「フフフ……ご主人様。いただきまぁ……」
カチャ!と、ふいに扉が開いた。
「ハルト殿!今、叫び声が聞こえ――!」
「え……」
そしてカチャ……と静かに扉が閉まった……。
「アクア!ちょっと待てぇぇぇい!!」
ぐきっ!!
「はっひっ!?」
変な声が出た。アクロバティックな体制からのツッコミによって、僕の腰が悲鳴をあげたのだ。
「だ、誰かきてぇ!ご主人様がぁ!」
腰に激痛が走る!これが世に言うぎっくり腰てやつか……。しばらくその場から動けず、気がつけば僕はベッドで横たわっていた。
「ご主人様。申し訳なかったにゃ……」
クルミがキャラを模索中らしい。
「うむニャ。しばらく安静にいたせニャ」
いや、アリスは語尾が違うでしょ。続けてプリンもアリスを真似してお説教をしてくる。
「やらしい事でもしようとしたんですわプリン!この変態プリン!」
いや、語尾に「プリン」つけたら自分になるでしょ。
「はぁ。しばらくは私がコリータの運営をしますのでゆっくり休んでください。はぁ……」
語尾が「はぁ」はわざとなのかわからないよ、マリン。
―――コリータ王国自室―――
――翌日。
部屋にプリン、カエデ、エル、クルミを呼んだ。
「4人に頼みがある。僕の腰が治るまで少々時間がかかりそうだ。そこで4人でイスタン帝国に行き無限牢獄に囚われた月夜見命を救出して欲しい」
「無限牢獄?」
「あぁ、カエデの話では地下牢の奥に開かずの間があるらしい。……いたたた。もしいるすればそこしかない。噂では無限牢獄と呼ばれ、数十年もの間、誰も立ち入ってないみたいだ」
「わかりました。この4人ならうまくいくかもしれません」
「うん。きりんは2人しか乗れないから、ウェスタン王国からは馬車を手配してくれ。遠征資金はマリンに頼んでおいた」
そうなのだ。こういう時に金がないと何もできない。レイド終わりにして良かった。
「ハルトよ、大船にしがみついたつもりで待っていなさいプリン!」
語尾プリンはやめた方がいいかもね。
「ご主人様。必ずお役に立ちますにゃ!」
「うん、クルミも無茶はしないように。少しでも危険を感じたら戻ってくる様に。転移指輪をドムドさんに頼んであるからもらって行ってくれ。あとカエデ達の剣も頼んである」
「ありがとうございます。すべてお任せください。ご主人様」
こうして4人はイスタン帝国に向った。
コンコン……カチャ!
「失礼します。旦那様、お加減はいかがですか?」
「あぁ、メリダ。しばらくは養生になりそうだよ」
「邪魔者がいなく……いいえ、セシルとロゼがご挨拶が遅れましたので連れて来ました」
邪魔者って言ったよね?今、ねぇ?
「ご挨拶が遅れました。サキュバスのセシルと申します。レディ様にお仕えしています」
「同じく人魚族のロゼと申します。よろしくお願いします」
「あぁ、先日のレイド戦ではお世話になった。これからもよろしく頼むよ」
「はっ!お任せください!」
「ふふ。旦那様はやさしいからそんなに堅くならなくても大丈夫よ、ね?旦那様。ふふふふふ……」
メリダの目がサキュバス化してる。
「ところでメリダ。街に本格的に病院を作りたいのだけど、医者の経験がある人はいないかな」
「あっ!それでしたらこの2人は元々、エリサ様の元で修行してたので適任かと」
「エリサ……?聞いた事があるニャン。どんな病でも治す医者がいると。確か名がエリサだった気がするニャン」
「アリス、まだニャン続けるの……」
「はい。エリサ先生には長年仕え、医術を学び、たくさんの技術を習得させて頂きました」
「ほんとか、それは助かる。早速マリンに準備させよう」
「お呼びでしょうか」
「びっくりした!!」
まだ呼んでもいないのに。
「たまたま部屋の前を通りかかりまして」
「あぁ、西町と東町にそれぞれ病院建設の準備と、後、薬局も欲しいな。薬学に詳しい人を募集してくれないか」
「かしこまりました。それでは失礼します」
こうして新たに2名の医者を迎え、コリータ王国の発展に繋がっていくのだった。




