表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ざこぴぃ冒険たん  作者: ざこぴぃ
第四章・ホンモノと複製
43/113

第42話・奴隷商とクルミ


―――コリータ王国西門―――


「離しやがれっ!そいつが噛みついてきたんだっ!」

「シャァァァァァァァァ!!!」

 西門で見慣れない男とクルミが揉めている姿が見えた。

「ちょっといいか!クルミ、落ち着け。事情を話せ」

「コイツ、親の仇……コロス……」

 クルミの目が完全にイッてる。この男が仇なのか?

「おい、お前。もしかして奴隷商か?」

「はぁん?だったらどうだって言うんだよ!」

「この国では奴隷商の入城はお断りしている」

「うるせぇな!つべこべ言わず――!」

懺悔の部屋コンフェクションルーム――』

「あ……あぁ……あが……」

 急に男が膝から崩れ、意識を失う。

「連れて行け」

「はっ!」

 懺悔の部屋コンフェクションルームは相手の意識を奪い、自白させる魔法だ。


―――城門検問所―――


 男を縛り、クルミを正面に座らせ話を聞く。

「――俺は殺してはない。頼まれて亜人を捕まえただけだ」

「嘘だっ!!」

 男に掴みかかろうとするクルミをギルが慌てて抑える。

「父ちゃんと母ちゃんを殺したのはお前だ……!ハァハァハァ」

「本当だ。赤いマントの長身の男に金を渡されて、名前は知らねぇ」

「死神ザクス……か」

 あいつならやりかねないか。

「クルミ、こいつの言ってることは本当だ。魔法で嘘はつけないようにしてある……ギル」

「はい、国王様」

「今日明日、城門の警備を増やし、奴隷商を確保。肩にこいつと同じイレズミがあるはずだ。おい、お前。奴隷商のアジトはどこだ?」

「アジトはエルフの――」

 男の話ではエルフの森のそばにアジトがあるらしい。そこから船で大陸外に売り飛ばしたりしてるそうだ。

「こんな所か。もう良いぞ――昏睡(ネムレ)

 ガクッと男は気を失う。

「ギル、こいつをレディの元へ運ばせてくれ。魔王城への餌として使えと言えばわかる」

「はっ!」

「クルミ行くぞ」

「うん……」

 納得出来ていない顔のクルミ。僕の感が当たっていればあの男は犯人ではない。

 クルミの手を引き東町へ向かう。

「ドムドさん!」

 東町のドムドさんの工房のドアをノックする。

「お?これは旦那様、今日はどのようなご要件で!」

「この前のヴァンパイアソードの鑑定は終わったかい?」

「へいっ、あれは……魔物ですね。まぁ、ご覧になって下さい」

 奥の部屋に通される。台の上にはヴァンパイアソードが鎖に縛られて置いてあった。そして目を疑う事に、剣が自らの意志で振動している。

『カタカタカタ……!』

「やはりそうか。もしや死神ザクスの正体は……」

「うむ、そのようじゃな。あの長身マントは確かにヴァンパイアだったかもしれぬが、こっちが本命じゃな」

「ふぇっ……!?ア、アリスいたのか」

 クルミの手前、平然を装うが、変な声が出てしまい心臓がバクバクいっている。急に出てくるな。

「プリンよ、次元断でこやつの過去を見れぬか?」

「はい!ねぇさま!やってみます!」

「ぷふぇっ……!プ、プリンもいたのか」

「何ですの?ハトがプリン喰らったみたいな顔をして」

 クルミの手間、平然を装うが、変な声が出てしまい心臓がバクバクいっている。プリンもいたのか。

「皆下がって!いきますわよっ!」

 プリンが聞いた事の無い謎の詠唱を始める!

「ちちんぷりんぷりん、ちちんぷりん!」

 皆がプリンを見つめ、沈黙する。

「……次元断(ディメンションカット)!」

「え……?詠唱関係なくね?」

 ヴァンパイアソードの上に映像がぼんやりと浮かび上がる。

「亜人の猫族の映像を出せ」

 プリンがヴァンパイアソードに語りかけると、カタカタと音を立てていた剣の動きが止まる。そして、映し出された映像が変化した。

「父ちゃん!母ちゃん!」

「これがクルミの両親か」

 ……残酷だが全部見せた方が良いだろう。

 さっきの男が映っている。クルミは奴隷商の馬車の中で泣いていた。そしてクルミの目の前で両親は刺され倒れる。クルミ側から見たら、あの男が刺したように見えたのだろう。実際は……男の向かいにいた死神ザクスが刺していた。

「クルミ、これでわかったかい?君の両親は死神ザクスに殺された。君の仇の死神ザクスはもう倒したんだ。わかるかい?もう仇討ちはしなくていいんだよ」

「う……う……ぅ……!」

 クルミはひざまずき、そして……。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

 号泣した。クルミを抱きしめて頭をなでる。

「まぁ、いかにも奴隷商がやりそうな方法じゃな。目の前で身内を殺し、奴隷を自暴自棄にする。しかしじゃ……ちょっとお仕置きが必要じゃの。プリン、もう良いぞ。ご苦労じゃった」

「はい!ねぇさま!」

 すぅとヴァンパイアソードから映像が消える。

「アリス様、ヴァンパイアソードはもう処分してもよろしいので?」

「うむ。もう十分じゃが……ドムドよ。この記憶媒体だけ取り出せぬか。色々使えそうじゃ。その後はへし折って捨てて構わぬ」

「へい」

 ヴァンパイアソードと死神ザクスはこれで永久に蘇る事は無いだろう。僕はクルミを背負い城へと戻った。


―――城内食堂―――


「クルミの様子はどうだ?」

 夕食を終えると、マリンに訪ねてみた。

「えぇ、泣いて疲れたのでしょう。ぐっすり眠っています」

「そうか。あとでホットミルクを頼むよ。僕が持っていく」

「かしこまりました」

「エル、急で悪いんだが2、3日中にエルフの森まで案内してくれないか。ちょっと用事があってね」

「うん、いいよ。水門の調整だけ明日にでもしとくよ」

「頼んだ。ゼシカ、お菊。ちょっと留守の間任せるよ」

「わかりました。あなた、気をつけて」

「ご主人様、ご無理はされませぬ様」

「そういえばお菊は魔力はもう戻ったの?」

「はい、おかげさまで。ご主人様からたんまり魔力を頂いて若返りました。オホホホ」

 本当だ、なぜか若返ってる。魔力ってそんな効果があるのか?じぃとお菊を見つめていると、お菊の後ろですんごい形相をしたゼシカと目が合った……。


 1時間程経ち、僕はクルミの部屋を訪ねてみた。ノックをするが返事はない。まだ眠ってるのか?

「クルミ、入るよ」

 明かりを点けず部屋を見渡すと、室内は暗いが月明かりが入り、うっすらと見える。

「すぅ……すぅ……すぅ……」

 ぐっすり眠っているようだ。ホットミルクをテーブルにそっと置く。

 いつだったか……この小さい手が僕の手を握っててくれたな。僕はそっとクルミの手を握る。

「よく頑張ったね……」

 右手でクルミの手を握り、左手で胸の辺りを優しくトントンする……。

 月の光が雲をぬけ部屋に差し込む。

 あぁ……そうか。クルミは亜人だから服を着ないで寝るんだ。布団がめくれてる。裸のクルミ……柔らかい胸に僕の左手が添えられている。

 そしてこのタイミングで部屋のドアが開く……。(まずぅぅぅぅい!!こんなとこ誰かに見られたら!)

「クルミ!だいじょうぶぅ?入るよぉ!」

(……げっ!?チグサっ!?)

 終わった……僕の人生は終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ