第3話・創造神の使命
―――西の洞窟付近―――
僕はアリスと、初日に転生してきた場所を目指していた。あの場所にいた魔物を倒しに行くとアリスに言われたからだ。
元々、目覚めたあの砂漠は神の聖地だったらしく、そして今、魔物が出入りしていると言う事は何かが起きているのだと。
しかし……僕は歩きながら考える。
僕は……まだ未経験だが、子作りは嫌いではない、むしろ好きな方だと思う。本能がそう言っている。しかしだ。転生して子作りをしろ、と命令されるとは思わなかった。そもそも子作りなら修行しなくとも、愛と雰囲気があればいける気がする!
「不純だ」
アリスがつぶやく。そして心をのぞかれることに慣れてきた僕がいる。
「この世界はもうじき終わる。わしはこの世界の終焉を見届け、新世界を望む創造神……」
「え?そうなのか。これからその準備をすると言う事なのか。しかし……なぜ、僕だったんだ?」
そうなのだ。なぜ僕を選びこの世界に連れて来たのか。前の世界での僕はどうなったのか。
「……あの時、お主はこう言ったのじゃ」
「あの時?」
「あぁ、あの時……『またな!』と」
「またな?……そんなことは言ってない」
記憶を辿ってみるが、どうも思い出せない。
「お主はわしに選ばれ、この世界へ来たということじゃ」
アリスは続ける。
「わしはハルトをこの世界の希望として見出したのじゃ。お主はわしと融合しておる。この意味がわかるか?」
「僕はアリスと一心同体てことだろ?」
「そなたが子供を作ると産まれてくる子供は、わしの能力が備わる可能性がある。それぞれの個体に神の子供を6人産ませる事で、この世界を救うことになる。そのためにお主はおるのじゃ」
大概のことでは驚かなくなったけど……6人か。6人と子供作るとか、法律的に問題はないのだろうか。まぁ、魔法が存在する時点で僕が知る限りの法律は無意味な気はする。
「種馬みたいなものか」
2人の間に沈黙が流れる。まぁ、あれだ、前向きに考えれば、前世でも彼女がちょうど、ちょうどいなかったし、元の世界に戻ることもできないし。この世界でハーレムを堪能するのも悪くはない。
ゲームオタクだった僕としては、できれば猫耳もふもふとか、美人のエルフとか、バニー姿の人間とか、そういう感じを求めて生きたい。そして透明化できる魔法とかあれば是非とも覚えたい。
「下郎が」
冷ややかな目で見るアリスにも慣れてきた。種馬上等。この世界ではナンパ道を生きる!
しかし……この世界に来てから記憶が曖昧だ。最近の記憶は比較的思い出せるが、小さい頃の記憶がぽっかりないような……まぁ、今は考えるのはよそう。
「アリス、この世界ではどんな種族がいるんだ?」
「うむ。神族、魔物族、人間族、エルフ族、竜族、ドワーフ族、亜人族、人魚族、妖精族かの。ただ竜族、ドワーフ族、人魚族、妖精族はかなり衰退しごくわずかしかおらん」
「そうなのか。人間がいるのなら町もあるのか?」
「ここから西に行ったところの大陸西部に位置する聖都ウェスタン、北の外れにある魔王城ノースタン、東の森のエルフ族イースタン、南の竜族の治めるサウスタンなどじゃな」
アリスは遠くを見ながら続ける。
「この世界の創造神の1人……と言ったが、正確にはこの大陸の、なのかもしれぬな。勢力争いで破れ、魔物が君臨する大陸もあると聞くからの。この大陸だけは何としてもわしが守り抜かねばならぬのじゃ」
悔しそうな表情を見せるアリス。この世界にも戦争があり、奪い合い、殺し合い、そんな世界だと改めて認識した。
「なぁ、アリス。僕に何が出来るかわからないけど、できる限り頑張るよ」
「しししっ、期待しておるぞよ」
アリスは微笑んだ。
「お主はすでに人間族でありながら、神族の力を持っておる。過去に何度か転生させた人間族はこの世界に順応出来ず、死んでいった者もおるのじゃよ」
僕が初めての転生者ではない?過去にも転生者がいたのか。
「着いたぞ。……うむ、やはり聖域の紋章が無くなっておる。どうりで魔物がうろつくはずじゃ」
僕は転生者について聞こうとしたがやめた。聞いた所で今は自分の事で精一杯なのだから。
その時、水場の方から悲鳴が聞こえた!
「キャァァァァ!!誰か!誰か助けてっ!!」




