第28話・王宮とドワーフ族
―――中央都市コリータ29日目―――
残り2日でウェスタン国王と約束の30日目。今日は仕上げに取りかかる。
ギル達が作ってくれた型枠にコンクリートを入れ固め、設置していく。
実際ウェスタン国王を迎えるには早くとも1週間はかかると思う。ウェスタン国王に明日来てね!いいよ!ていうわけにもいかないからだ。それまでにお店や民家、ギルドや市場……まだまだやることは多い。
「ハルト殿、ちょっとよろしいでしょうか。このガッコウの横ですが」
「あぁ、マリンか。そこは結構スペース開いてるんだよね」
先日、バーベキューをした際に100人以上入れた場所だ。花壇にしては広すぎる。
「ご提案なのですが、ガッコウはガッコウで居住場所として隣に王広間を兼ねた客人を迎える建物も建設されたらいかがでしょう。通路もつければガッコウとも行き来できますし」
「あっそうか。ガッコウには応接間はあるけど、王広間はない。そもそも客人を泊める部屋もないな。即採用」
「ありがとうございます。そう思って図面を作っております」
さすがはマリン。魔法を見て興奮するクセがなければ最高の秘書だ。
僕は図面に目を通す。なるほど……外見は城に見立てて中は王広間、客間、食堂でコンパクトにしてあるのか。
「これで行こう、すぐに用意を。明日には作りたい」
「かしこまりました。すぐに用意致します」
マリンはそう言うとアカシアを連れて向かう。頼もしい思い眺めていると、竜族の長ゲンゴロウさんがやってくる。
「主様、急ですがドワーフの長が門まで参っております。お時間を少々頂けないでしょうか」
「早速来られたか!ガッコウの応接間へお通しして下さい」
「わかりました。では後ほど」
この国に入場するには外城壁での検問、内城壁での検問、合わせて30分程で来られるな……一旦戻るか。
「ギル!ここは任せた!」
「はっ!」
ギルに任せてガッコウへ戻る。しかしガッコウまでの階段。これは何か考えないとな。運動にはもってこいだけど……エレベーターを付けようか。ガッコウの廊下を歩きながら色々考えてみる。
カツン……カツン……カツン……。
「あーりーすー。どこだー。お菓子あるよー」
「お菓子っ!!」
「ねぇさま!お菓子の時間です!」
どこから湧いてきた……むさぼる二人。ほんっと仲良いな。
「アリス、ガッコウへの階段なんだがお年寄りや客人のことを考えてエレベーターみたいなものか、エスカレーターみたいなもの作れないかな」
「むぐむぐむぐももぐはもぐ」
ハムスターみたいに、ほほがいっぱいのアリス。
「んうもぐもぐはぐはぐん」
「飲み込んでから言え」
「ごっくん。それでな……」
「途中からかいっ!最初から言えっ!」
「丘の下に横穴開けて、縦穴開けて下から魔法陣で上まで運ぶ……ならできるぞ。動力はそうじゃなぁ……」
「なるほどね。後でアカシアに強度を聞いてみるか……で、アリス。ドワーフの族長が訪ねて来てるみたいだが会っておくか?」
「ドワーフかっ!ユリゲルのことを聞いてみよう!」
応接間でキャッキャ言ってると、コンコンっ!とノックが聞こえる。
「失礼しますじゃ。ドワーフの長ドムドを連れて参りました」
「お初にお目にかかります、城主殿。ドムドと申します。以後お見知りおきを」
この人がドワーフ族の長か。身長は僕の胸辺りまでしかない。ヒゲもじゃでいかにもドワーフという感じだ。
「はるばるご苦労様でした。僕はハルト。こっちがアリスでこっちがプリン。よろしく」
「うむ。くるしゅうない!」
「くるしゅうな……ん!ぐぐくるしぃぃ……んんん!」
バンバンバンっ!!プリンがお菓子を喉に詰まらせ、アリスが背中を叩く。何をしてるんだ……。
「ドムドさん、早速ですがドワーフ族の話を教えて下さい。もう世界にドワーフは少数しかいないのですか」
「へい、数年前のサウス山の噴火により村は焼け、仲間は死に、集落にいるのは30名にも満たないと思います。本日来たのは是非こちらでお役に立てないかと」
「こちらこそ是非、お願いします」
「なんと!よろしいのですか?30名もいるのですぞ」
「大丈夫ですよ。1万人て言われたら考えますが、それでもたぶん問題ないですよ」
「ありがとうございます。早速仲間に伝えて移住致します」
プリンが落ち着いたところでアリスが聞く。
「ところでユリゲルは健在か?」
「へい、ユリゲルはわしの曽祖父だったかと。母に確認したらわかるかと思います」
「何と!それなら話は早い!ちと作って欲しいものがあってな。わかり次第、報告せよ」
「ははっ!」
ドワーフとの交渉はすんなりいった。マリアの像も作れるそうだ。それから3日後にドワーフ達も移り住んで来る事となる。
―――中央都市コリータ30日目―――
いよいよ約束の30日目になった。町もかなり形になってきた。内装はまだだけど、ガッコウの横に王城も建てた。これでウェスタン国王を呼べる。
「ゼシカ、約束の30日だ。明日ウェスタン王国へ出立し、国王を呼んできてもらいたい。実際見てもらった方が良いと思う。あと今日でギル達の任務も終わりだ。ウェスタン王国へ帰還する者も連れて行ってやって欲しい」
「わかった。往復で4日、国王の出立の手続きなどで2日、6日後には帰って来れると思う」
その夜。ささやかだが、まだ内装もない王城で打ち上げを行った。皆で飲み、食べ、深夜まで大いに騒いだ。そして僕もさすがに疲れて部屋へと戻る。
ようやく終わった。これで僕の目的も1つ完成した。眠い目をこすりながらベッドへ入る。明日は……色々考えてるうちに睡魔に襲われ眠りに落ちた。
――朝方。何かが聞こえて目が覚める。
「あぁ……ハルト……!」
「ゼシカっ!」
ゼシカが覆いかぶさり、体が密着している。たぶん今日は下着姿だ。
「しぃぃぃ!まだ皆、寝てるの」
小声でゼシカが答える。そしてキスをした。何度もキスをした……。
そしてこの日、僕はついにゼシカと……。




