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異世界ざこぴぃ冒険たん  作者: ざこぴぃ
第二章・国作と住古来今
23/113

第22話・最悪の結末


―――中央都市南の草原―――


 ポツポツポツ……サァァァ……!

 雨が降りだし、遠くで雷も鳴っている。

「コゾウ!ワシノ、シモベヲ。ユルサンゾ……!」

「うるせぇ!トカゲ!降りてきやがれ!」

「プリン!ご苦労じゃった!ハルトの中へ入っておれ!」

「ねぇさま!お願いします!」

 プリンは僕の胸の宝石に吸い込まれるように消えた。いまだにどういう原理かはわからない。

 邪神トカゲネビュラと、残りドラゴンが10数匹。他のドラゴンは地面でうずくまってる。羽根が傷つき動けないだけで、死ぬほどのダメージはなかったはずだ。生き残ったドラゴンが馬車を追いかけ出す。

「ニガスナ……」

「きりん!頼む!」

 アリスと一緒にきりんの背に乗り、追いかけながら念話を試みる。

『誰か聞こえるかっ!』

 ザ……ザァァァァァ……!

「え?ハルト?」

「リンか!後方より10数匹ドラゴン接近!避難民を逃がし、皆はそこで応戦してくれ!!」

「わ、わかった!ゼシカに伝える!」

 ドラゴンを追いながら、魔法剣で羽根を狙って切っていく。しかしドラゴンの様子がおかしい。動きが鈍いというか、無抵抗というか……。

「こやつらトカゲに操られておるな……」

「そういうことか。やはり殺す程ではないな」

 ゼシカ達の馬車が見えてきた。ドラゴンも残り3匹。きりんが上手く誘導してくれ、ドラゴンの羽根だけを切っていく。

 残り1匹。ドラゴンが馬車の前で応戦するゼシカたちに襲いかかる!

「そうは行くか!!魔法障壁(マジックシールド)!」

 ゼシカ達の前に魔法の障壁ができる。ドラゴンの爪は障壁に阻まれ、攻撃は届かない。

 その間に最後の1匹の羽根を切る。ドラゴンはドスン!と音を立てて倒れた。これであとはトカゲ野郎のみ。

「ゼシカ!馬車に引き上げて退避を!僕はトカゲ――」

「避けろっ!ハルトっ!!」

 背後から無数の魔法弾が飛んでくる!

「くっ!これは避けきれな……!!」

 避けきれず、何発か直撃を喰らう。

「ぐぅっっ!痛っ!」

 致命傷という程ではないが、魔法障壁をも破壊する威力だ。

 ゼシカ達も倒れている!僕は急ぎゼシカ達の元へ向かう。

「ゼシカ!大丈夫かっ!」

「私は……な、何とか生きてはいるが……」

「マリアッ!マリアッ!!」

 マリアがギルをかばって倒れている。エルが回復魔法を唱えるのが見えた。

『ハルト!リンッ!よく聞け!』

 アリスが念話で作戦を伝えてくる……リンも黙ってうなずく。

「ゼシカ!馬車の中でマリアの手当をっ!馬車にシールドを張る!」

 馬車に魔法障壁を二重に張った。トカゲネビュラはさらに魔法弾を放つ!

 僕は剣で弾きつつ魔法弾をかわすが、見境なく攻撃は続く。らちが明かず前進しながら足に斬りかかる!

「せいやっ!!」

 トカゲネビュラの足を切る!が、切った感触がない。

「魔法剣が効かないだとっ!?」

 頭上からトカゲネビュラのするどい爪が襲ってくる。同時に、ドンっ!と、にぶい音を立ててアリスが吹き飛ばされた。

「アリスッ!!」

 アリスは動かない。

「クククッ。ニンゲンヲカバッテ、シヌカ。オロカナ……」

 トカゲネビュラが倒れて動かないアリスの方へと近づく。

「リン!今だっ!」

「混沌の地より生まれし彗星、我の声に答え、導け。我はこの世界を欲する也……我が名はリン・ドラコ!この名を世界に示せっ!すべてを破壊せよっ!!」

 リンが詠唱する!


奥義・大地隕石魔法(メテオアース)ッッッ!!』


 雲を裂き、空からトカゲネビュラの頭上めがけて隕石が降ってくる。このタイミングで僕も魔法を発動!

束縛呪縛(イバラロード)っ!!」

 イバラのツタがトカゲネビュラの足を絡める。これで逃げ場はない!

 ゴゴゴゴ……ズドォォォォォォン!!

「グガァアァアアアア!!」

 隕石がトカゲネビュラの頭に直撃した。アリスの作戦通りだ。

「はぁはぁ……アリス、リン!大丈夫か!」

「う、うむ。さすがに効いたわ。ちょっと部屋に戻るぞ」

 そう言うとアリスの分体がスッと消える。

「……ぼ、ぼくは大丈夫、それよりマリアさんが……」

「そうだ!マリアの回復を!!」

()()()()()()……」

「え……?今、何て……」

 僕は自分の耳を疑う。

「マリアさん……息してない……て、ゼシカが……」

 雨が強さを増す……。

 最悪だ。何をしている!動け!足が動かない?足がすくんでる?クソ!まだ間に合う!動けっ!!

「残念だが無理かもしれん。リザレクションじゃろ?神に殺された者は生き返れない。それが本来の姿……複製も効かぬ。そなたの体だから今まで複製できたのじゃ」

 アリスが念話で話しかけてくる。

「そんなこと言われてもやるだけやってみないとわからないだろっ!」

「好きにせい。ちっ、クソトカゲめ。まだ生きておるのか」

「オ、オ、オマエラ……ユルサン……!」

「あ゛ぁ゛?ジャマをするなっ!!」

 トカゲネビュラの毒を帯びた爪が僕の体をかすめる。

「モウドクノツメ。ダ……シネ……」

「もういい。黙れ……トカゲ……」

 僕は構わず、魔法剣をトカゲネビュラに向ける。

「ふぅぅぅぅぅ……神々之黄昏(ラグナロク)!!」

 黒いまがまがしい闘気を帯びた魔法剣がにぶい光を放つ。しかし以前使ったラグナロクとは見た目が明らかに違った。これがアリスと同化し神族になった力なのだろう。それはゆうに雲を突き抜けた。

「シネッ!クソトカゲ!!」

 トカゲネビュラの体は雨と共に、真っ二つに切れた。

「グガァァァァァ……!?」

 バタンッ!!!

 雨が降り続く中、僕達は邪神トカゲネビュラを倒したのだった……。

 ザァァァァァ……!


「マリアッ!」

 馬車に乗り込むと皆が泣いている。嘘だろ?ゼシカが振り向き、涙声で言う。

「ハルト……マリアが……!!」

「汝、我の声に答えよ、光の精霊よ、今、その力を示せ!生命帰還(リザレクション)!!」

 ザァァァァ……。雨の降りしきる音が大きく聞こえる。……何も起きないのだ。見かねたアリスが皆に念話で話かける。

「リザレクションはな。本来、神のみに使うことが許された魔法。それは生死を操る。しかし神に殺された者は蘇らん。それが本来の姿。残念じゃがマリアは生き返りはしないのじゃ。ハルトを憎まないでやってくれ。こやつなりにようしたと思う……」

 皆、アリスの言葉を聞き、もう無理だとわかったのだろう。中央都市に着くまで泣き続けた。そして僕は道中、トカゲの毒がまわりそのまま気を失った……。

 ギルの泣き叫ぶ声を聞きながら……。

「マリアァァァァァァァ!!!」

 ザァァァァ……!雨はまだ止む気配はなかった……。

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